You and me...

二人の距離-LT ページ43

LT「ふぅむ」


電話だと言って脱け出した僕は。
こっそり個室の壁に背中と耳をくっつけて、二人の様子を窺っていたのだった。


デバガメなんてそんな趣味はないんだけど―
やっぱりあの二人の距離感が気になるからね。


ｲｪｿﾝの幼馴染みの―Aちゃん、か。
明るくて表情豊かで。なるほど、可愛いな。
とても素直な子って感じがした。


てっきりｲｪｿﾝの片思いなんだと思ってたけど、なんのなんの。
アイツよりもむしろAちゃんの方が、ｲｪｿﾝに夢中って感じだ。


こうして二人きりにしてみると―
ｲｪｿﾝもAちゃんも自然体で接している気がする。
いや、自然体・・・？
うーん、そのわりにはどこかぎこちない気もするけど。


でも彼女の方は、少なくともｲｪｿﾝの前ではさっき以上に無邪気な様子だな。
僕が席にいたときはもう少し控えめな感じだったけど・・・
今はホントにｲｪｿﾝの妹みたいだ。


LT「幼馴染み、ね・・・」


とか言いながら、お互い好きなんじゃん。
僕は、何年か前にｲｪｿﾝに説教した晩のことを思い出した。


―もうずっと。何年も大事にしてきたヤツがいて。


―兄妹みたいに育ってきたから好きとかそんなんじゃないけど・・・


―でも、大事で。他の女の子は彼女以上に大事に思えないんです。


普段はそんなこと話さないアイツが、酒に酔って打ち明けてくれたんだっけ。
だけど酔ってはいたけど―
その幼馴染みの話をするｲｪｿﾝの目は限りなくピュアだったのを覚えている。


LT「ハハッ・・・」


好きとかそんなんじゃないって。
馬鹿だなｲｪｿﾝ。
そういうのを、好きっていうんだろ？


僕はおかしくて笑ってしまった。
そういえば、二人の様子がやけに静かだ。
ブラインドの隙間からそーーっと中を覗く。


あっ！手ぇつないでやがる！！僕がいないのをいいことに！


下を向いてうつむいているAちゃんと、
彼女から顔を背けているｲｪｿﾝ。
Aちゃんの顔は見えないけど・・・耳が赤いのはわかる。


やれやれ。
素直さでは―Aちゃんの勝ち、だな。


LT「さて、と」


あんまり長いこと席を外しているのは不自然だし、そろそろ戻ろうかな。


ごめんね、お二人さん。
仲良いところ悪いけど―邪魔者が入るよ？

気まずい・・・→←複雑な兄心-YS

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す