You and me...

お誘い ページ36

「びっくりしたー」


買い換えたばかりのケータイを耳から離した私。
ｼﾞｮﾝｳﾝからの電話に、私は呆然としていた。


＊


あれからケータイのショップを見つけた私は、韓国製のｽﾏｰﾄﾌｫﾝを契約して。
すぐに使えるようにしてもらって。
操作に慣れたくて、近くのカフェでコーヒーを飲みながら試しにいじっていたのだった。


「あ、ｼﾞｮﾝｳﾝの連絡先！」


ふと、手帳のカバーにはさんでおいたメモの存在を思い出す。
そういえば私、ｼﾞｮﾝｳﾝにお礼の連絡すら入れてなかった。
彼が書いてくれたメモを取り出して、ゆっくりアドレス帳に入力する。


考えてみれば。
これは私の好きな人の連絡先であり。
そして多くの女の子が欲しがるであろう、あの「ｲｪｿﾝ」の連絡先なのだ。


「落としたりしないようにしなきゃね・・・」


私はまたきちんとメモを手帳カバーにしまって。
アドレス帳には「ｼﾞｮﾝｳﾝ」と入れた。


連絡・・・してみようかな。お仕事かもだけど。
メールくらいならいいよね。
新しいケータイにも久しぶりのハングル文字にも慣れたいし！


自分の行動にわざとらしく理由をつけて。
私はできるだけさらっとしたメールの文面を考えて送信した。


「とりあえずこれでよし。それにしてもメールくらいでドキドキするとか・・・中学生？」


別に期待していたわけじゃないけど―
案の定、ｼﾞｮﾝｳﾝからすぐには返信なんてなくって。
それもまぁ当然だから、私は地図のｱﾌﾟﾘｹｰｼｮﾝのﾀﾞｳﾝﾛｰﾄﾞなどに励んでいたのだった。


気付いたら1時間近くも夢中になっていて。
さすがにそろそろ出ようかなと思っていたときに、手にしていたケータイが震えた。


さっき登録したばかりの名前が表示された。


＊


「ｼﾞｮﾝｳﾝとご飯か・・・」


ｼﾞｮﾝｳﾝからの思いがけないお誘い。
二人で。外で。
なんかそれってデートみたいじゃない？


嬉しいのと気まずいのとで、なんだか複雑な気分・・・。
でも〜嬉しいのが少し勝ってる、かな。


「あああ〜こんなことならもっとおしゃれしてくるんだった！」


ｼﾞｮﾝｳﾝと会うなんて、全くの予定外だったから―色気も何もない格好だった。
せめて！せめてメイクくらいはきちんとやっておこう。


私は慌てて化粧室に駆け込んだ。

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