You and me...

帰国 ページ14

「あああ〜寒いよ〜」


夜に韓国のｲﾝﾁｮﾝ国際空港に降り立った私は。
4月とはいえまだまだ寒いこっちの夜に、がたがた震えていた。


手荷物からマフラーと手袋を取り出す。
持ってきといて良かったよ・・・。
ぐるぐるっとマフラーを首に巻いて、私は空港を出た。
とりあえず、ｿｳﾙまでのバスに乗り込む。


はぁ・・・戻ってきちゃったよ、大韓民国。
日本から飛行機でほんの3、4時間ほどの距離だけど―
遠くに来たなぁって気分だった。


バスに腰を落ち着けた私はなんとなくため息をついた。


別に・・・ね。
韓国が嫌いってわけじゃない。
むしろここで生まれてここで育ってきたんだし。
父が眠る場所でもあるし、母にも当然会いたい。


でも手放しに「帰ってきたーー！」って喜べないのは―


「ｼﾞｮﾝｳﾝだよ・・・」


それしかなかった。


i-podで大好きなSuper Juniorの音楽をかける。
重い気分だってのに。
ｲｪｿﾝの声を聞くと、懐かしさで頭がボーーっとしてくる。


ああ、やっぱり私は。
今でもｲｪｿﾝ―ｼﾞｮﾝｳﾝの声が世界で一番好きだ。


＊


私がｿｳﾙに到着した頃には、すでに夜の10時を過ぎていた。


「ど〜おしよっかなぁ・・・」


私はここに来て途方に暮れた。
今からﾁｮﾝｱﾝの実家に戻るには、時間が遅すぎる気がした。


お腹も空いたし・・・
多分今頃戻っても、私の分の夕飯なんて無いだろうしなぁ。


母にはこっちに着いたら連絡するって言って。
いつ、何時に帰るか詳しく伝えていなかった。


私はとりあえず歩き出した。
ここでじっとしていても寒くて凍えそうだ。
そしてホントに空腹で・・・何か食べたかった。


それにしても韓国は、昼間ほどではないにしても人通りも車通りも多くてごみごみしている。
空気は・・・もしかしたら東京より悪いかもしれないな。


父の呼吸器系の弱さが遺伝したのか―私も軽い喘息を持っていた。
小さい頃はわりと病弱なほうで、両親やｼﾞｮﾝｳﾝに心配をかけていたけど。


大人になるにつれてその症状はだいぶ軽くなったし、
ヨガに目覚めてからはより体調が良好になった気がする。
それでもお守り代わりに喘息の薬を持ち歩くことは忘れないけどね。


「んーー・・・いい匂い」


小さな食堂の前。
漂ってきた美味しそうな食べ物の匂いにつられて。
思わず私は足を止めた。

手伝い-YS→←帰国の準備

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す