You and me...

手伝い-YS ページ15

YS「うーさぶっ・・・」


車を降りた俺は、顔に当たる冷たい風に身震いした。
4月―春になりたての韓国は、昼間は少し暖かくなってきたが夜はまだまだ寒い。


春は―なんとなく苦手な季節だ。
揺らぎやすい気温で体や喉の調子が乱れやすいし、
気分も浮き沈みが激しくなる気がする。


仕事上がり。今日は近くのスタジオで収録だった。
寒さに背中を丸めた俺は、実家のカフェに避難した。
今日はｼﾞｮﾝｼﾞﾝが店に立っていた。


YS「ただいま」

「あ、兄さん。最近よく顔出してくれるね＾＾」

YS「んーーそうか？」

「まぁいいけど。もうそろそろお店閉めるから、上で休んでなよ」


ｼﾞｮﾝｼﾞﾝにコーヒーを手渡されて、俺は2階へ上がった。


母さんは―もう遅い時間だし、先にマンションに帰ったのか。
コミンの姿も見当たらない。


コーヒーであったまっていたら、閉店業務を終えたｼﾞｮﾝｼﾞﾝがやって来た。


「兄さん、悪い・・・ちょっと食材切らしちゃって。スーパーまで車出して欲しいんだけど」

YS「んーーそりゃかまわないけど。こんな時間にやってる店なんてあるのか？」

「ここから少し走った先に遅くまでやってるところがあるんだ。
ちょっと不便な場所にあるんだけど・・・」

YS「いいよ＾＾さっさと行こうぜ」


他ならぬ可愛い弟の頼みだ。
ｼﾞｮﾝｼﾞﾝはエプロンを脱いで、上着を手に持った。


＊


YS「おいｼﾞｮﾝｼﾞﾝ。なにが、『ちょっと食材切らしちゃって』だよ・・・。なんだこの量は」

「ごめんごめん＾＾せっかく兄さんが手伝ってくれるって言うからさ。買いすぎたかな」


俺とｼﾞｮﾝｼﾞﾝは、野菜やらチーズやらが入った大きな袋を両腕に抱えていた。
この袋のせいで前がよく見えない。


YS「しかも・・・なんで駐車場がこんな遠いんだ」


不便な場所にあるってそういうことかよ。
重いし寒いしで、とんだ頼みごとだな。


「あ。」

YS「てっ！ｼﾞｮﾝｼﾞﾝ〜急に止まるな」


小さな食堂の前。
俺の前を歩いていたｼﾞｮﾝｼﾞﾝが急に足を止めたから、俺はその背中に思いきりぶつかった。
ばらばらっと袋から中身がいくつかこぼれた。


ｼﾞｮﾝｼﾞﾝは足を止めたまま、食堂の中を見ている。
俺は落ちたものを拾った。
なんだってんだ一体・・・。


「ねぇ兄さん。あそこにいるのAﾇﾅじゃない？」


・・・なんだって？

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