BE THERE vol.2

なつかれた人 ページ6

く、クロスケさん・・・(笑)
言い得て妙な〜ラウくんのセンスに笑いを隠すことができない(笑)


まだ今日会ったばかりの。
そして、どうしてこの病院の中庭にいるのかよくわからない―ｼﾞｮﾝｳﾝさん。


そんなｼﾞｮﾝｳﾝさんは、ラウくんがそう呼ぶように上から下まで真っ黒の服装で。
この前、海で会ったときは白のシャツ姿で。
そのときは、あそこの空と海の青さに映えるような―
クリーンなイメージだったのに。


YS「クロスケさん・・・って。俺のこと、か？」

「ふふ。ｼﾞｮﾝｳﾝさん、あの子に気に入られましたね？」


この様子だと〜ｼﾞｮﾝｳﾝさんとラウくん。
別に顔見知りってわけじゃないみたい。


この人、どこか不思議な空気を持ってる人だから―
感受性の強い子でもあるラウくんに、興味を持たれてしまったのかも。


ぼんやりとした目線で、病棟と中庭をつなぐ入口の方を見やっていたｼﾞｮﾝｳﾝさんが。
やっぱりぼんやりとした表情は変えないまま、こちらに顔を向けた。


「あの男の子―ラウくんっていうんですけど。仲良くしたいって思った人には、ああやってあだ名をつけたがるんです＾＾」

YS「それでクロスケ、か(笑)」


わずかに失笑が混じった笑顔を浮かべたｼﾞｮﾝｳﾝさんは。
手を、黒いVネックのT-シャツの肩に当てて。
納得したのか、そうでないのか〜どちらともつかないように首を傾げていた。


YS「それで、A。君がミニちゃんってのは？」

「さ、さぁ〜深い意味までは；多分私が他の大人より小柄だからでしょうか」

YS「ハハ、なるほど＾＾」


あ・・・そこは納得するんだ(笑)
小さい子どもの言うことだから、あまり気にしてなかったんだけど〜ちょっと複雑な気分かも(笑)


YS「今の子。ここの入院患者・・・なのか？」


ｼﾞｮﾝｳﾝさんに、そうポツリと尋ねられて。
思い出したように―もっとずっと複雑なものが胸中を巡りだす。


「はい。ああして元気そうに見えるんですけど―小児性のがんを患っているんです」

YS「がん・・・」

「今は夏だから小康状態が続いてますが、余命宣告も・・・下されていて。冬を越せれば―いいえ。今年を越せればいいと言われています」

YS「それは・・・辛いな。本人もだけど。家族、も」


同情めいた口調という感じではなく。
まるで過去に同じ思いをしたかのような言い方で、ｼﾞｮﾝｳﾝさんがつぶやいて。


そこにふわっと。
生ぬるい夏の風が私たちを撫でるように―吹き抜けた。

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