BE THERE vol.2

夜のガールズトーク2 ページ48

ﾏｵ『んふふ〜。Aちゃーん＾＾』

「・・・；」


スカイプ越しで真っ先に飛び込んできた、マオの表情。
目も口も、真横にぐーーっと引っ張ったように・・・ニヤついていた。
うーん、この顔は・・・。


「ちょっとマ〜オ〜？ちょうど今さっき、メール入ってたのに気付いたから来てみれば〜」

ﾏｵ『うんうん。良かったぁーちゃんと来てくれて。んで＾＾』

「う、うん」


バタバタっという音と一緒に、マオが画面に向かって急接近してくる。


今日はたまたま。仕事が日勤だったから。
だからたまたま。こうしてこの時間にゆっくりしていたわけで。


夕方頃に帰ってきて、シャワーも浴び終えて、PCを開くと。
『緊急招集！8時にいつものとこに集合！』・・・だなんてメールが入っていた。
連絡を取り合うときは〜互いの夜の時間が空いてる日を相談してから、なのに。
夜勤だったら、間違いなく気付かずにスルーしちゃうところだった。


だから何事かと思って。
彼女が指定している8時って時間もすぐに迫ってたから、慌ててビデオ電話の環境も整えたのに〜。


ﾏｵ『デートっ♪どーだったのっ？！』


やっぱり・・・その話題のことなのね；
私は思わずマオのきらきらした瞳から、ふわ〜っと目を泳がせた。
視線だけじゃなくて。
彼女が聞きたがっている日まで―記憶と思考も泳がせてみる。


ｼﾞｮﾝｳﾝさんと二人で出かけた、あの日から数日経って―
夏のうちで一番暑くって。
それでいて一番過ぎていくのが早く感じる―8月になっていた。


夏って・・・8月に突入してしまうと。
もう終わりに近付いているというか・・・折り返し地点なんだなって。
この国に来るずっと前から、毎年そう思っていた。


ﾏｵ『A、聞いてるー？？』

「あ、ごめんごめん」

ﾏｵ『ちゃんとデートしてきたんでしょー？ドタキャンなんてしないで』

「うん・・・。楽しかった・・・かな」


別に恥ずかしがることもなく、素直な感想が口から出る。
私は自分一人だけで納得するかのように。
うんうんと頷いていた。


だけどマオは。


ﾏｵ『そ、それだけぇ？！』

「え？」

ﾏｵ『楽しかったのは〜いいことだよ？もちろん。でもさー・・・』

「う・・・はい；」

ﾏｵ『その人のこと知りたいとか。もっと会いたいとかさ。そういうのはー？』


私の反応が明らかに物足りなかったみたいに。
今度は顔のパーツを中央に寄せて、ぶーーっとした表情になっていた。

Thinking Of You→←Conceivable crisis.-KH

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す