BE THERE vol.2

childhood-YS ページ34

Aの言う方角に走ったらホントに着いた―海。
すごいな。ここに来たことないような口ぶりだったのに、なんでわかったんだろうな。


カーナビは一応、搭載しちゃいるが。
使い方がイマイチわからんうえに、けっこうあてにならないことが多いんだ。
・・・多分(笑)


それはそうと。


工業地帯ともすぐ隣接している・・・まぁ、なんつーか。
決してきれいとは言えない海にようやくたどり着いて。
俺は駐車場・・・というか、ただの砂利道になっているスペースに車を停めた。


この海、俺は一度来たぐらいでこれまたうろ覚えなんだが。
サーフィンや、砂浜を楽しんでいる人たちはちらほら見えるものの。
どうやら海水浴場として海開きしているところではないみたいだ。


もしかしたら―
Aが来たがっていた海とイメージが違ったかもしれないな。
ふとそんなことを思いかけたとき。


「あ、素敵！」


そう言うやいなや、車を飛び出したA。
彼女の髪が一瞬ふわっとなびいて。
そして気持ちよさそうに空を仰いでいた。


俺もエンジンを切って車を降りる。
さっき彼女が言ったように、潮の匂いが混じった風をすぐに鼻先に感じた。


「ｼﾞｮﾝｳﾝさん。ここすっごくいいです」

YS「そうか。少し歩く、か？」

「はい＾＾」


泳ぐために来たんじゃないが。
人魚姫はやっぱり―海が好きみたいだ。


＊


「海、光ってきれい。それにみんな楽しそう＾＾」

YS「ん。そうだな―」


Aとゆったりと歩きながら、なんとなくデートっぽい雰囲気を味わう。


俺たちが歩いているのは、砂浜じゃなくて。
少し高台になっている土手、というか。
海も浜も空も一望できる場所で。


彼女が言うきれいって、海そのものじゃなくて。
この全体図のことを指してるんだろうな。


俺は別に、Aに言われるまで海なんて行きたいともなんとも思っちゃいなかったが。
彼女がこうして喜んでくれてるってんなら。
連れ出した甲斐があったってもんだな。


「あっ、見てください！ｼﾞｮﾝｳﾝさん！」

YS「んーー？」

「あの飛行機！」


Aの声に導かれるまま、彼女の目線の先を追うと。
青い空には、確かに飛行機があったが。
飛行機は飛行機でも・・・それはラジコンのヤツで(笑)


「ああいうの。子どものころを思い出したりしませんか？」

YS「ん。昔・・・欲しかったけど買ってもらえなかった、な(笑)」


懐かしさとともに、そんな苦い思い出までも思い出したのだった。

聞くよ・・・君を-YS→←Dear my summer2

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