BE THERE vol.2

Colorful way.-YS ページ30

なんつーか。
言うまでもなく・・・迷ってるな、俺たち(笑)
や、運転してるのはあくまで俺なんだが(笑)


Aを連れてってやりたいと思った―あの海までの道。
なんとなくイメージはできるんだが。
道順、というか道自体はうろ覚えなんだよな。


というかあの海って、誰と行ったんだったかな。
もう随分と昔のことのような気もするが。
SJのメンバーの誰かか？それともｼﾞｮﾝｼﾞﾝとだったかな。
まず間違いなく言えるのは、過去に付き合っていた女とでは無い、な。


俺のほとんどあてにならないと言ってもいい、記憶だけを頼りに。
のろのろと車を進ませているなか。


「ぷっ(笑)」

YS「ん？」

「ふっ・・・ふふふっ。あはははっ！」


横にいるAが―
彼女と出会って以来、初めて聞くような。
明るい声で、笑いだした。


何がそんなにツボに入ってるのか、見当もつかないが(笑)
微笑むという、感じじゃなくて。
「可笑しくてたまらない」、といった風に無邪気に笑っている。


かわ・・・いい。
Aって。こういう笑い方―できるんだな。


っと。そんなことを思ってしまうなんて。
ハハ・・・どうしてだろうな？


まぁ・・・ちょっとおカタくて、融通は利かなさそうなところはあるが。
たとえば、うちのﾘｮｳｸやｿﾝﾐﾝと同じような匂いがする感じのな(笑)


だけど別に、Aに暗い女の子とかそういうイメージを持っていたわけでもなく。
ましてや彼女がその胸の内に―辛いものを秘めながら。
この大陸まで泳いできた・・・悲しい人魚姫だったなんて知っている由もなく。


Aが、笑顔でいてくれることが。
それ自体をものすごく珍しく思っている俺がいて。


だけど。


「だって男の人って、みんな同じこと言うんですもの」

YS「んーー。みんなって誰、A＾＾」


Aの口から出た「男」っていう、気になるワード。
そういやAに恋人とか。好きな男がいるかどうか。
全く知らないままに俺たちこうしていて。


聞きたい、な。
この話題、もう少しだけ。


この人魚姫の。
童話の中では知りえない部分を知ってみたい。
そう思ったが―


「・・・」

YS「・・・」


雲が差したように、わずかに翳るAの表情。


怒ったところも、困ったような顔も可愛いと思ってたよ。
だけどどこか寂しげにも見えたその表情を―
俺以外のヤツがさせてるのだとしたら。


陽炎のように、ジリつくものが。
俺の中でくすぶったような気がした。

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