BE THERE vol.2

BIG MACHINE ページ21

「はぁ・・・はぁ・・・！」


家から、赤い屋根の下にあるケーキ屋まで徒歩なら10分。
こうやって走ったら〜5分で着く？！それとももっとかかっちゃう？！


時間にルーズなのって、あまり好きじゃない。
それが特に―自分以外の誰かの時間に関わるのなら尚更。


私の中では・・・どこかのタイミングで。
止まってしまって、動かなくなっているそれは。
他の人の中では流動的に、誰でも平等に、進み続けているものだから。


それなのに―


「あ〜〜なんで寝ちゃうかなっ＞＜」


寝坊、じゃない。
きちんと起きるべき時間に起きて、身支度も万全に済ませていたのに。
ちょっと家を出る時間までに余裕があったもんだから、ソファに腰掛けたのがいけなかった。


昨夜は早夜勤だったから、寝る時間が遅くて。
それでも一応は眠ったはずなのに、うたた寝しちゃうとか〜。
有り得ないよ・・・こんな遅刻。


息せき切って、坂道をくだる。
私とろいから・・・こんなサンダルじゃ転んじゃいそう。


今日はｼﾞｮﾝｳﾝさんとのデート、で。
彼が私の仕事場の病院まで、わざわざその話を持ち出しに来たあの日から―
ちょうど1週間経っていた。


あの日、ｼﾞｮﾝｳﾝさんとの電話で日取りの調整をしていたときも。
やれ何日は、番組出演が3本あるとか。
やれ何曜日は、地方に遠征だとか。


「ちょっと詰め込みすぎじゃない？」なんて。
その世界のことなんてよく知らない私が、そんなこと思うのは〜
彼にとっては。大きなお世話だろうけど。
でも、こっちが心配になっちゃうくらいに忙しいみたいで。


それこそ・・・ホントに私とのデートに時間なんて充てていていいの？
ってくらいで。


それでも、この日が来るまでの1週間。
ｼﾞｮﾝｳﾝさんとはその用件以外の連絡を取り合うこともなく。


私もいつもどおり、勤務の時間はそっちでバタついていたし〜。
プールに通うのも、語学の勉強をするのも、SJの―音楽を聞くのも。
いつもどおりではあったんだけど。


なんとなく―いつもより、日々が過ぎていくのが長く感じていた。


って、今は！
そんな1週間のことを振り返ってる場合じゃなくって！


私がハッと目覚めて、家を慌てて飛び出したときには―
すでに約束の時間をまわるころで。


大好きなはずの夏の太陽も。
自分で指定した〜素朴な味が気に入ってる、よく行くケーキ屋さんまでの距離も。
今はただただ、恨めしかった。

踊る君はそう、マーメイド2-YS→←Date with-YS

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