BE THERE vol.2

人生に微笑みを・・・ ページ17

ﾏｵ『デートっ！うん、いいねいいね！いいよ、A〜＾＾』


それがホントに心から喜ばしいように。
そう言ってくれるマオ。


だけど私は〜苦いものが混じった笑いを浮かべるしかできない。


「い、いい・・・のかな？正直あまり気が進まなくて・・・」

ﾏｵ『そっちの人だよね？てことは韓国人？』

「うん・・・」


韓国人は韓国人でも。
全然そんな風に見えなくっても。
芸能人でアイドル・・・の人なの。


もしかしたら〜マオも知ってる人かもしれない。
Super Juniorって、実は日本でも大人気のグループみたいだから。


もちろん、そんなことは言わないけど。
マオは、私が浮かない顔をしてるのが気に掛かったのか―


ﾏｵ『気が向かなくても行くべき！いつかは知らないけど、絶対にドタキャンとかしちゃダメだよ、A！』


PCの画面越しなのに、今にも噛みついてきそうな勢いだった。
ヘッドセットから聞こえてくる声も・・・すごく大きい(笑)


そんなマオは、もう少しPCから離れるように座りなおして。


ﾏｵ『でも―良かった』

「なにが？」

ﾏｵ『アナタをそうやって連れ出してくれるような人がいてくれて。だってAずっと・・・タツヤさんのこと吹っ切れてないみたいだったから』

「・・・」


マオの口から、ふとその名が出て。
私は・・・チェストの上に置いてある写真立てに目をやった。
ここからはそんな写真立てなんて映らないから。
きっとマオの目には入っていない。


ﾏｵ『その人って、何歳くらいの人なの？』

「あ・・・1984年生まれって話だから〜。私たちの2コ上、かな」

ﾏｵ『そっか・・・。偶然かもしれないけど。タツヤさんと・・・同い年だね』


そういえば・・・そうだね。
マオに言われるまで、全然そんなこと思いもしなかったけど。
でも、それだけじゃないの。


私・・・彼から。
ｼﾞｮﾝｳﾝさんから、デートなんて持ち掛けられているときも。


タツヤのこと―
思い出しもしなかったの。


＊


「・・・」


PCを閉じて、ぼふっとベッドに倒れこむ。


あれからマオとの電話は、「どこに行くの？」とか「どんな服着て行くの？」とか、そんな質問攻めで。
もっとマオの近況も聞きたかったのにな。


久しぶりの長電話、すごく楽しかったけど。
今日は・・・いろいろありすぎて疲れちゃった。


「A―ゆっくり休めよ、か」


眠りの落ちる直前に、またあの人の声を思い出して。


変な人・・・。
あなたがそれを言うの？

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