Episode62 ページ27
「なんて、ことがあったんです」
「あらら、それはまた」
放課後、昼休みにこうちゃんと山本が話したラウンジでにいるのは、福良と山本。
部活が始まる前に、ガイディングの指導を行っているところだった。
山本もこうちゃんの秘密を無駄に広めるようなことはしたくないものの、あんなにあからさまだと生徒会の皆にバレるのも時間の問題だろう。
実際川上はもう気づいていると山本も思っていた。
「面白いね、知り合い同士がカップルになるのって」
「そうですけど、あれからこうちゃんずっと、上の空で。逆に心配ですよ」
「あはは、やっぱり面白いじゃん」
楽しげにケラケラと笑う福良を、山本はじっとした目で見つめる。
「山本も応援してるんでしょ?」
「そりゃ、もちろんしてますよ」
「なんか、あまり乗り気じゃなさそうだからさ。もしかして、山本も佐々木さんのことが好きだったり?
…あ、わかった、こうちゃん取られて悔しいんだ」
「……本気で怒りますよ」
冗談だって、と笑う福良を横目に、山本は小さくため息を吐いた。
別に取られたとか悔しいとか、そういう問題ではない。あそこまで人が変わったようなこうちゃんを見て、単純に少し不安に思っただけなのだ。
「じゃあ今頃今日の部活も張り切ってるんじゃないの、今日山森さんと佐々木さんも仕事の関係でいるから」
「え、伊沢さん部活に仕事は持ち込まない主義なんじゃなかったですっけ」
「どうしても都合が合わなかったんだってさ」
じゃあ、俺たちもそろそろ行こうか、と立ち上がった福良に続き、山本も腰を上げる。
生徒会室につくと、そこでは河村さんが問読みのミニクイズ大会が行われていた。
先程福良が行っていた通り、山森と佐々木の姿もそこには見受けられる。どうやら川上との打ち合わせだったらしく、白熱するクイズ大会の最中机の端っこで何やら三人で話し合っていた。
「あ、山本やっほー」
「こんにちは」
「山本も入る?点差はあるけど」
「じゃあせっかくですし、」
河村に促されるまま、山本もボタンを握るこうちゃんと伊沢の横に並んだ。
部内一のクイズ王である伊沢と始めたてのこうちゃんとでの勝負は、当然だが伊沢が圧倒的に勝っていて、こうちゃんは隣で悔しそうにうー、と唸っている。
今から伊沢を抜かせるとは思っていないものの、純粋にクイズが好きな山本は河村に渡されたボタンを握って問読みに耳を澄ませるのだった。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます!やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした!ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます! (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい!ありがとうございます!本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか!!笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね!!コメントありがとうございました…!! (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!山本さんお誕生日回…!たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです!笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます!!最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます!これからもよろしくお願いします…!! (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syuri | 作成日時:2020年5月14日 0時