QK高校生徒会執行部 2

Episode60.5 ページ16

「あ、伊沢さん。おはようございます」


「え、あ、おはよう」


「？ どうしたんですか、扉閉めて」


「い、いや？特に理由はないけど？山本こそ、どうしたのこんな早くに。今日朝特になんもないけど」


「いや、ちょっと朝早く来ちゃったんで、古いQKでも見ようかなと思って」


その会話を、部屋の中から皆が扉に耳をくっつけて聞いていた。いきなり扉が勢いよく閉まったものだから、なんだなんだと不安になったのだ。


「うわ、山本じゃん、」


「まずいですよ生徒会室入られたら。もう結構飾り付けしちゃってるし、誤魔化しきれないですって」


「ちょっとこうちゃん、どうして山本きてんのよ」


「いやいや、俺もまさか朝生徒会室に来るなんて思わなかったんですってば！」


山本の到来を知り一気にザワつく生徒会室内だったが、一番慌てているのは伊沢である。
なんとかして、山本を生徒会室に入らせないようにしなくてはいけない。


「みんな生徒会室にいるんですか？俺も入っ…」


「あーーー！！！えっと、その、」


「な、なんですか、いきなり…」


どうしようと焦るものの、考えろ、と自分自身を落ち着かせる。


「問題！日本人で初めて南極に…」


「…白瀬矗」


「正解！！やー山本もクイズ強くなったよね、」


「だからなんなんですか一体！中で何かやってるんですか？」


「いや？そんなことないけど？そうだ！暇なら俺と時間までクイズしようぜ！」


「はぁ、いいですけど…。じゃあ、生徒会室で…」


「いや、ラウンジ行こう！なんかそこでやりたい気分！」


一体なんだというような顔をする山本を、半ば無理やり肩を組んで生徒会室から遠ざける。

俺は山本を食い止めるから、あとは頼んだぞみんな。

そう心の中で言い残し、伊沢は山本を食い止めるクイズを頭の中で考えるのだった。




「…よっし、ナイスだ伊沢」


「さすがペテン師、こういう所で役に立つわな」


「いやいや、大分焦ってましたよ伊沢さんも。危なかったー…。ちゃっちゃと終わらせて、早く生徒会室の鍵閉めちゃいましょう」


「そうですね。俺伊沢さんと同じクラスなんで、荷物は持っていきますよ」


それにしても、誕生日の朝くらいゆっくり寝て来ればいいものの、なんでったってこんな朝早く学校に来たのだろう。

それから、伊沢が山本を食い止めてくれている間にそそくさと片付けを済まして部屋を出る。

じゃあ、昼休みに、と言い合ってそれぞれ自身の教室に戻るのだった。

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