Femme Fatale【stxxx】

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さとみくん、寝ちゃったな。


いつもより激しかったせいなのか、
彼はすやすやと夢の中に行ってしまった。

彼の寝顔を見るのは、片手で数える程。

夜は作業で寝るのは遅いし、
朝もレコーディングとかで早い。


疲れてたのかな、
私は"おやすみ"と呟いて彼の家を後にした。




**




23:00頃。

こんな時間に女ひとりで歩くのは
おかしいことだとは思う。


でも、外の空気が吸いたかった。

1人になりたかった。


私を知る人が居ない世界に行きたかった。




いつから、こんなふうになってしまったかは
分からない。

昔の私はもっと、純粋で、無垢で、
穢れなんて全く知らないような女だったのに。


あぁ、人生やり直せるならやり直して
また1から新しい人生を送りたい。


そして、やり直して綺麗で可愛い私で
彼らと出会いたい。



まぁ、そんな非現実的なことなんて
起こるはずもないんだけれど。





公園のベンチに座り、見上げてみれば
綺麗な月が顔を出していた。

星なんかはさ、都会だから見えないんだけど。

今日の月はなんだか綺麗で、
目が離せなかった。






？「お嬢さん、何してんのー？」

『え？……なんでここにいるの？…ジェルくん。』

ジ「あちゃ、俺ってバレたん？w」

『わかるよ、声で。』

ジ「あはは、そんなことより何でこんなとこおんの？」

『……暇つぶしだよ。』






ふわっと微笑んでみれば
ジェルくんは私の隣にストンと座ってきた。

なにか聞くわけでも言うわけでもなく、
ただ隣に座るだけの彼。



聞きたいことは山ほどあるんだろうけど
彼は優しい。聞こうとしない。





そんな所が、私は好きだ。





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