第八十八話 ページ9
os視点
os「その親子は父子家庭で、懐の広い父親と大人しそうな男の子の二人暮らしでした。
誰にも心を開かない彼でしたが、心優しい親子にだんだんと打ち解けていきます。息子とも本の趣味が合ったため仲良くなりました。
そんな楽しい暮らしをして、十数年が立った頃。
……彼が朝起きると、家には誰もいなかったのです。
彼が親子の名前を叫んでも、家中どこを探しても、その姿は見当たりません。
そして彼は思い出します。
自分をゴミのように見る他人の目、眩しいほどに燃える我が家……
両親の、笑顔。
彼は泣き叫びます。頭を抱え喉が枯れそうになるまで……。
そして、視界の隅にキラリと光るものがある事に気づきます。
それは数年前に父親が息子と彼に護身用にと一本ずつくれた剣でした。
彼はその双剣を持ち、家を飛び出します。
どこまでも、宛もなく彼は走り続けました。
どれほど走ったのでしょうか。
すっかり日も暮れ、飲み食いせずにひたすら走ったせいでふらふらと歩きながらこう考えます。
このまま、餓死してしまおうか……。
その時。
どこからか笑い声が聞こえてきます。
声のする方へ近寄ってみると、そこには仲良しな三人組がいました。
彼らを不審に思いながら剣を構えますが、
……何故でしょう、彼らをこんなにも暖かく感じるのは。
彼らは殺意を向けても笑顔を浮かべ、街の人々のような胡散臭さを感じないのです。
何故かここはどこよりも居心地よく感じたのです。そう、彼はやっと見つけたのです。
自分の本当の居場所を。
三人組は彼を歓迎し、
そして四人で仲良く幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。」
俺が語り終えると、あまりにも呆気ない最後だからか、彼女は俺に質問してきた。
『……主人公は、何故自分の本当の居場所が分かったのでしょう。』
os「…"彼"は本能的に、自分の居るべき場所だと気づいた。
……あの親子が、"彼"に声をかけたように。」
『…！
なるほど……しかし、何故そのお話を私に…？』
不安げに揺れる彼女の目を見て、俺はニコリと笑って彼女の頭に優しく手を置いた。
os「……A。
決して、一人でいることは悪い事ではないんやで。」
『っ……！！』
彼女は目を見開いて俺を見る。
その目は、少し潤んでいたように見えた。
？？？「＿＿＿＿Aっ！！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひよこ。(プロフ) - 約3年ぶりにこの作品を読ませて頂きました。本当に面白くて主ちゃんもtn氏も可愛くてかっこよくて、我々国内の信頼度の高さやいろんな面の強さに感動！興奮！でした！！！本当に過去一大好きな軍パロです！ (2023年2月23日 21時) (
レス) id: 852489ddeb (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 大先生.......！！！！切ねえ！そういうの大好きです！！楽しく読ませて頂きました、ありがとうございました！ (2021年2月9日 13時) (レス) id: 0e99721aee (このIDを非表示/違反報告)
わんぱん - 一気読みしてきました！めっちゃ面白かったです！本編は勿論番外編のcino君の強者ムーブ面白かったです。素敵な作品ご馳走様でした*\(^o^)/* (2020年8月20日 16時) (レス) id: b542029aeb (このIDを非表示/違反報告)
ムノ - 私この作品見ながら夜中ずっと悶てるんですけどただの変人(元から)なんですけどヤバいトントンさんと夢主さんの両片思いなとことか国民とか国民とか国民とかが好き過ぎて辛い､好きです(唐突な告白) (2020年4月10日 0時) (レス) id: 979b6668ec (このIDを非表示/違反報告)
外ピ - 俺になるの最高に可愛いですありがとうございます。最後！niさん！もう、本当に、心臓が止まりました。なんてかっこいいの...この作品に1番ぴったりなのは、人生の主役は我々だっていう感じがします。とても長くなってしまいましたが最後に1つ。ｷｬｰﾄﾝﾄﾝｽﾃｰｷ (2020年3月6日 4時) (レス) id: 6c3752b497 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まるまるのし | 作成日時：2019年4月22日 20時
