参拾弐 ページ37
「ぜっ…全然違います!!」
あんな乱暴で素行の悪い奴らとどこが同じなんだ!
銀さんは「そうか〜?」と気の無い返事を返してきた。
「私達は江戸の町を護る機関です。勤王だとか攘夷だとか訳の分からない思想を肩に掛けて町を闊歩するあんな奴らと一緒にしないで下さい!」
「だから一緒じゃん」
カタンとドアが鳴った。恐らく彼がドアに背中を預けたのだろう。
「アイツらの思想とか俺にゃ分かんねーけどさ、江戸の町を天人から護りたいってのは同じだぞ?」
「な…!」
何を言って…!?
「難しい理屈抜きで考えてみろや。高杉は置いといて、少なくともヅラとアンタらは同じに見えっけどな」
天人から江戸の町を護る。
確かにそれも真選組の仕事の一つだ。いや、むしろ攘夷派がいなければ彼らの鎮圧など不必要なのだから私達の一番の仕事かもしれない。
なら、何故同じ事を成そうとする私達が対立しなければいけないのか。
分かる訳ない、そんな事。
分かりたくも無い。
知った所で何も変わらない。
「それでも私は…アイツらの気持ちなんて分かりません。攘夷派を認める事は出来ません」
だって私は真選組なのだから。
彼等とは相容れない存在なのだから。
「…それは槿花が望んだ事か?」
「私が自ら選んで答えた事です」
銀さんの確認するような声が聞こえる。
私の答えを聞いて彼が何を思ったのかは分からないが、またカタンと音がした。
「そろそろ着替え終わったか?終わったんなら開けていいよな」
「あ、はい。どうぞ」
ガラッとドアが開く。部屋に顔を覗かせた銀さんは私の姿を捕らえて小さく笑った。
「やっぱその色似合うな」
「え」
その言葉に私は自らの着物の袖に視線を落とした。薄緑の生地、さっきまで来ていたピンク色の着物とは印象が違う。
すごく綺麗な着物なのに、すごく着心地も良いはずなのに。
だからだろうか。
この男に褒めらた着物を袖に通して、彼の言葉に少しでも嬉しく思う自分に罪悪感が芽生えた。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - すももさん» ありがとうございます!!あの2人良いですよね、同志が見つかって私も嬉しいです!!! (2017年7月24日 0時) (レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - とても面白かったです〜!私ものぶさぶ大好きです(≧∇≦)かわいいですよね!! あんまり二人の推し、居ないんですよね〜(つД`)ノ (2017年7月22日 17時) (レス) id: f8834efd1a (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» そうでしたね(^^)気をつけます (2016年4月3日 12時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - 銀時豆さん» 気を付けてお帰り下さい〜お家に帰るまでが旅行ですよ( ˘ω˘ ) (2016年4月3日 10時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» なんとか今の所持ちこたえてますσ^_^;明日あたり帰るかなという感じです(ー ー;) (2016年4月2日 21時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lying doll | 作成日時:2016年3月20日 22時