弐拾陸 ページ31
「へェ〜結構良い部屋用意してくれてんのな」
部屋に着き、いよいよ万事屋と2人きりになってしまった。小町ちゃんと小毬ちゃんが居たらどんなに心強かった事か。
「まずは飯だよな〜…って何でンな所に突っ立てんの。座れよ」
扉の前で棒立ち状態の私に気付いて万事屋は腰を下ろした隣を手でポンポンと叩く。
「…失礼します」
私も仕方なしに彼の隣に座った。
どうしよう…何をしたら良いのかさっぱり分かんない。
相手が少人数であればある程小さなミスが大きく目立ってしまう。現に今はこの空間に2人しかいないのだから尚更だ。
この男の目には私しか映らない状態。
絶対に私が真選組だとバレないように慎重に…
「何難しい顔してんだ?」
「きゃあっ!?」
いつの間にか万事屋の顔が至近距離にあった。眉間にシワを寄せて考え込む私の顔を覗き込んでいたのだ。
「ごめんなさい…何か緊張しちゃって」
私は彼から少し離れて顔を俯かせる。
ヤバい、怪しまれた!?
「そ、別に緊張する事は無ェと思うけどな」
万事屋はさして気にしなかったのか特に追求する事もなく料理を口に運び始めた。
良かった…
私はホッと胸を撫で下ろして自分の膳に口を付ける。
あ、美味しい。
普段は中々口にする事の無い高級そうな料理の数々。
私は皆の顔を思い出して少しだけ皆に会いたくなった。
いつもは賑やかだもんな〜
今はこうやって敵と一緒にご飯を食べるなんてシュールな状況だけど、こんな状況でも美味しく感じるんだ…
何だか変な感じ。
「…。」
私は自分の事で一生懸命になるあまり、隣で食べ進める男が私をじっと見つめていた事に気が付かなかった。
♦♢♦
「あ〜!食った食った」
私が料理の半分ぐらいを食べ終えた頃だろうか、万事屋は全ての料理の食べ終え満足そうに伸びをした。
食べるペース早っ…!
万事屋が食べ終えた事で私は微妙に焦りを覚える。一応今はお客さんとして対応しなければならないので私がのんびり食べる訳にもいかない。
そんな思いから私は焦るあまり、
ガチャンッ
自分の肘でお吸い物の入った碗を倒してしまった。
「あっ…!」
「オイ、大丈夫かよ」
幸い中身は冷めかけていたので火傷をする程熱くはなかった。が、こぼれた汁が着物をびしょ濡れにしていた。
「あーあ、びしょびしょじゃねーか。オメー着替えとか無ェの?」
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - すももさん» ありがとうございます!!あの2人良いですよね、同志が見つかって私も嬉しいです!!! (2017年7月24日 0時) (レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - とても面白かったです〜!私ものぶさぶ大好きです(≧∇≦)かわいいですよね!! あんまり二人の推し、居ないんですよね〜(つД`)ノ (2017年7月22日 17時) (レス) id: f8834efd1a (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» そうでしたね(^^)気をつけます (2016年4月3日 12時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - 銀時豆さん» 気を付けてお帰り下さい〜お家に帰るまでが旅行ですよ( ˘ω˘ ) (2016年4月3日 10時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» なんとか今の所持ちこたえてますσ^_^;明日あたり帰るかなという感じです(ー ー;) (2016年4月2日 21時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lying doll | 作成日時:2016年3月20日 22時