弐拾肆 ページ29
月詠さんの誤魔化しに高杉は淡々とそう言った。
「何故じゃ?」
「女は一番信用ならねェ。見覚えのある遊女ならまだしも、このお嬢さんは疑わずにはいられねェなァ…」
高杉はそう言うと意味あり気に私を見る。
何て警戒心なの…!?
もし座敷に入れたとしてもこのガードの固さでは上手く話を聞き出す事も困難かもしれない。
「あまりこの娘に恥を掻かせないでおくんなんし。一度呼んだ遊女を追い返すなど聞いた事がありんせん」
月詠さんは尚も食い下がろうとするが高杉は一向に首を縦に振ろうとはしなかった。
緊迫した空気が流れる。
一体どうしたら…
「……ククッ…アハハハハッ!」
そんな重苦しい空気を打ち破ったのはそんな笑い声であった。
「何が可笑しい?銀時」
高杉は笑い声の発生源である万事屋に目を向けて睨み付ける。万事屋は目尻に涙を溜めながら大笑いしていた。
「いーや?何も可笑しくなんかねェよ。晋助サマともあろうお方が女一人相手にビビってんのかねェ?」
「…!」
万事屋はひとしきり笑い終えると目を細めて挑発する様に高杉にそう言い放った。
高杉は万事屋の言葉に眉根を寄せる。
「隙を突いて襲撃してくるのは幕府の犬の得意技だと俺は思うがなァ」
「無粋な野郎だねェ…酒の席でぐらい情緒を重んじて欲しいモンだぜ」
万事屋はヤレヤレと言った風にため息を吐いてみせると、
「なら、こうしねェか?」
「え!?」
私の肩をグイッと自分の方へと寄せた。
「俺ァこの姉ちゃんが気に入ったよ。だからこっからは別行動にしようじゃねーか。テメェらはテメェらで好きな女を見繕えば何の問題も無ェだろ?」
万事屋が「違うか?」と笑って見せるとそれまで黙っていた桂が小さく息を吐いた。
「銀時、一体何しにここに来たと思っているのだ。今日は高杉の誕生日を…」
「俺はタダ酒呑めるって聞いて来ただけだ。ハナから
高杉も「俺も別に誕生日なんざ興味は無ェ」と桂に言い放つ。
今日…誕生日なんだ。
使えるかは分からないが謎に包まれた高杉の情報を一つ手に入れた。本当に使う場面は無いと思うけど。
桂はまとまらない様でまとまった2人の意見を前に「仕方ない」とだけ言った。
「今日は元々大した話をするつもりも無かったからな。各々良い夜を過ごせ」
それだけ言うと桂は揚屋には寄らずに帰って行った。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - すももさん» ありがとうございます!!あの2人良いですよね、同志が見つかって私も嬉しいです!!! (2017年7月24日 0時) (レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - とても面白かったです〜!私ものぶさぶ大好きです(≧∇≦)かわいいですよね!! あんまり二人の推し、居ないんですよね〜(つД`)ノ (2017年7月22日 17時) (レス) id: f8834efd1a (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» そうでしたね(^^)気をつけます (2016年4月3日 12時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - 銀時豆さん» 気を付けてお帰り下さい〜お家に帰るまでが旅行ですよ( ˘ω˘ ) (2016年4月3日 10時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» なんとか今の所持ちこたえてますσ^_^;明日あたり帰るかなという感じです(ー ー;) (2016年4月2日 21時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lying doll | 作成日時:2016年3月20日 22時