拾捌 ページ21
「貴方達こんな所で何をしているのですか」
私の腕を掴んでくれたのは見廻組の今井信女さん、そして私達を見回して口を開いたのは信女さんの隣で呆れ顔をしている佐々木異三郎さんであった。
「アンタらこそ何してんだ。ここはテメェらの管轄じゃねーだろ」
土方さんは怪訝な顔付きで私と信女さんを引き離すと私の前へと歩み出た。
「私達はただの買い物」
信女さんはそう言うと私達の目の前に紙袋を突き出して見せた。袋には『ミスドーナツ』と書かれている。
「そういえば信女さん、ドーナツがお好きでしたよね」
「そう」
信女さんはおもむろに紙袋からドーナツを一つ取り出して口に放り込んだ。
それを見て佐々木さんは「女性が食べ歩きなどはしたない事をするものではありません」と
「貴女もいる?」
「い、いえ…お店の服を汚す訳にはいかないので…」
流石に試着中の物は汚せない、まだ買うと決めた訳でも無いのだから。
「そういえばいつもの隊服ではないのですね」
佐々木さんは私の格好を見てそう言った。
い、今の今まで気が付かなかったんですか…?
などと私がそれなりにショックを知ってか知らずか佐々木さんは興味深そうな顔をしていた。
「今度吉原に潜入するとか何とか聞きましたがその関連で?」
「アンタにゃ関係無ェだろ」
真選組と見廻組はあまり仲が良い訳では無い。隊士の生い立ちや管轄など色々と揉める要因があったりする。
それに見廻組は真選組の事を見下している。
だから土方さんは佐々木さんの事を毛嫌いしていた。
「そうですね私達には関係の無い話かもしれません」
佐々木さんは嫌な顔をせず、むしろ無表情のままそう言う。そして私に一瞬視線を寄越した。
「ですが、やはり女性にはあの味気無い隊服よりもこういった衣服の方が華があって良いですね。信女さん、貴女にも一着…」
「要らないわ」
信女さんは佐々木さんの申し出をバッサリと断ると彼を置いてスタスタと歩いて行った。佐々木さんは苦笑しつつ私達に会釈するとその後を追った。
「じゃあ俺達もそれ買って帰るか」
結局、私達は試着中の着物と山崎さんの見つけて来た簪を買って屯所へと帰る事となった。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - すももさん» ありがとうございます!!あの2人良いですよね、同志が見つかって私も嬉しいです!!! (2017年7月24日 0時) (レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - とても面白かったです〜!私ものぶさぶ大好きです(≧∇≦)かわいいですよね!! あんまり二人の推し、居ないんですよね〜(つД`)ノ (2017年7月22日 17時) (レス) id: f8834efd1a (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» そうでしたね(^^)気をつけます (2016年4月3日 12時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - 銀時豆さん» 気を付けてお帰り下さい〜お家に帰るまでが旅行ですよ( ˘ω˘ ) (2016年4月3日 10時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» なんとか今の所持ちこたえてますσ^_^;明日あたり帰るかなという感じです(ー ー;) (2016年4月2日 21時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lying doll | 作成日時:2016年3月20日 22時