壱 ページ3
「隊長!おはようございます!」
元治元年6月4日早朝。
ここ真選組屯所内には朝から威勢の良い挨拶が響き渡る。朝早く起きて鍛錬を積む事、それはとても大切な事だ。
「お早う、今日も一日頑張ろうね」
そして私、藤堂Aもまた隊士達にそう挨拶を返すのであった。
先に言っておくが私は女だ。別に男装をして真選組に入り込むとか、そういう小細工を使っている訳ではなく周知の事実である。
そんな私が真選組に籍を置き、しかも八番隊の隊長を務めるのには訳があるのだがそれは追々話すとしよう。
「失礼します、副長」
目的地へと着いた時、私は軽くそう声を掛けて部屋へと足を踏み入れた。
ここは真選組副長、土方十四郎の自室。彼は書類の束と睨めっこをしていた。
「お早うございます副長。本日もお疲れ様です」
「おう、お早うさん。オメーはいつも起きるの早ェな、総悟の奴も見習って…あぁ、そこの書類踏むなよ」
相当疲れているのであろう、彼の目の下にはハッキリとクマが出来ていた。
忙しいのは無理もない話だ。
真選組が江戸へ来てからというもの幕府のお偉い方から真選組は重宝されてきた。江戸の町を守る為には多少の身の犠牲は払えてしまうのが不器用な彼の性分なのだから忙しくても自分の体調の事など二の次であろう。
「副長、無理にとは言いませんが少しは休んだらどうですか?」
私は持って来たお茶を仕事の邪魔にならないように机の隅へと置いて何気無く声を掛けた。
「休めってなァ…俺が休んだら誰がこの書類を片付けんだよ」
「何も6時間睡眠を取れと言っている訳じゃありません。30分寝るだけでも大分変わりますから」
このまま体を壊してしまえば本末転倒になってしまう、私もこればかりは見過ごせない。
「それに体調管理も大切な仕事の一つですよ?土方さんが寝込んでしまったら誰が隊を動かすんですか?」
勿論そうなれば局長の出番なのだが、大将は真ん中でドンと構える。それも土方さんの意見なのだ。
懸命に訴え掛ける私の言葉が届いたのか土方さんはじっと考え込んでいたのだが、それは少し違った。
「土方さん、な」
「あ…!」
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - すももさん» ありがとうございます!!あの2人良いですよね、同志が見つかって私も嬉しいです!!! (2017年7月24日 0時) (レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - とても面白かったです〜!私ものぶさぶ大好きです(≧∇≦)かわいいですよね!! あんまり二人の推し、居ないんですよね〜(つД`)ノ (2017年7月22日 17時) (レス) id: f8834efd1a (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» そうでしたね(^^)気をつけます (2016年4月3日 12時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - 銀時豆さん» 気を付けてお帰り下さい〜お家に帰るまでが旅行ですよ( ˘ω˘ ) (2016年4月3日 10時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» なんとか今の所持ちこたえてますσ^_^;明日あたり帰るかなという感じです(ー ー;) (2016年4月2日 21時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lying doll | 作成日時:2016年3月20日 22時