捌 ページ11
瞼の裏から明かりが見える、徐々に意識が霧がかった場所から現実へと引き戻されて行く。
「…ん……」
ここは…?
目を覚ました時、私は自室に居た。ゆっくりと身体を起こそうとするが、
「痛っ…!」
ズキッと頭に痛みが走る。頭に触れてみると包帯が巻かれていた。
「まだ起きちゃダメだよ」
「山崎さん…!」
傍に座る山崎さんは私に掛け布団をかけ直して横になる様に促す。
「Aちゃん3日間眠りっぱなしだったんだよ」
「そんなに…」
あの日から3日経っていた。
脳裏に浮かぶのはあの男の姿。
"お嬢ちゃん、残念だ"
あの人は一体何者なの…?攘夷浪士?それとも桂一派?
「少しも動かねェからこのままおっ死ぬんじゃねーかと思ったぜィ」
「総悟…」
総悟は部屋に入って来ると布団の横に腰を下ろし私の額へとそっと触れる。
「まァ、この傷もその内治るみてェだし大事が無くて良かったじゃねーか。これからは気を付けろィ」
「うん…足引っ張ってごめん」
総悟は「別に」と呟くと私の額から手を離す。
「オメーが居なくてもどうにかなってただろーよ。あの銀髪のヤローには返さなきゃなんねェ借りが出来ただけでィ」
総悟がそう言った時、今度は土方さんが部屋へと入ってきた。
「総悟、Aはまだ病み上がりだ。そういう話は完全に治ってからにしろ」
「そーですかィ」
土方さんは総悟の横に腰を下ろすと「調子はどうだ?」と聞いてきた。
「まだ傷は痛みますが大丈夫です」
「そうか」
私の答えに土方さんはフッと笑みをこぼす。総悟は私達の様子を仏頂面で見ていた。
「なら早いとこ治す事だな。山崎、総悟…俺達はもう戻るぞ」
「はい」
「へーい」
3人は私だけを残して部屋から出て行った。
♦♢♦
「言わねーんですねィ。アイツに」
Aの部屋から大分離れた頃を見計らい沖田は口を開いた。
「まだ頃合じゃないですよ、怪我だって全然治ってないし…今伝えるのは酷です」
山崎は複雑そうな顔でそう沖田に答えた。だが沖田が知りたかったのは土方の答え。
「土方さん、本当に良いんですかィ?」
「何が」
「俺ァ一番納得してねェのはアンタだと思ってまさァ」
沖田の鋭く的確な言葉に土方は「はぁ」とため息を吐く。
「それはテメェの事だろ、総悟」
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - すももさん» ありがとうございます!!あの2人良いですよね、同志が見つかって私も嬉しいです!!! (2017年7月24日 0時) (レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - とても面白かったです〜!私ものぶさぶ大好きです(≧∇≦)かわいいですよね!! あんまり二人の推し、居ないんですよね〜(つД`)ノ (2017年7月22日 17時) (レス) id: f8834efd1a (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» そうでしたね(^^)気をつけます (2016年4月3日 12時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - 銀時豆さん» 気を付けてお帰り下さい〜お家に帰るまでが旅行ですよ( ˘ω˘ ) (2016年4月3日 10時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
銀時豆(プロフ) - lying dollさん» なんとか今の所持ちこたえてますσ^_^;明日あたり帰るかなという感じです(ー ー;) (2016年4月2日 21時) (レス) id: a770d2a664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lying doll | 作成日時:2016年3月20日 22時