銀魂 【不死蝶の舞姫】3

第百ニ十一訓 ページ23

Aside



なんでこんなにも私の欲しい言葉をくれるのだろう。

銀時の言葉一つ一つが私の心に落ちる。
黒く澱んだ水が澄むように、銀時の言葉が私の中の不安や恐怖を溶かした。

怖くない、私には彼がいる
そう、思えた




「バカ…だねｯ 本当、バカだよ…」



ポロポロ落ちる涙を拭もせず、目と鼻先の銀時を見つめるそんな私に目を細めて笑う優しい笑み、





「な、で…本当に、大馬鹿だ…ッ」

銀時「おう、よく言われんだ」

「もう、ッ…後悔しても、しらない、っから」

銀時「そーだなァ…後悔ばっかりの人生だったから、今更だな」

「ぎっ、とき…絶対、…早死に、する」

銀時「俺が長生きしすぎて、いい加減死ねとかゆーなよ？」




額を合わせながら、おかしな事ばかり言う銀時に気づけば頬が緩んだ




銀時「やっと笑った」

「……約束、ね」



安心した様に笑った銀時の前に小指を差し出す。




銀時「あァ…約束だ」



一回りも二回り大きな小指が、しっかり絡みつく。


ねぇ、この約束、真に受けちゃうよ？

ずっとこんな私を護ってくれるって
ずっとこんな私のそばに居てくれるって
貴方が腰が曲がったおじいちゃんになって
私が今のままでも、ずっと…

私の味方で居てくれるって





「ふふふ…なんかプロポーズされたみたいだね」

銀時「なっ…こ、コレはそーゆう意味じゃ──ッ」

「分かってるよ。でも、すごく嬉しかったから…ねぇ、ずっと一緒に居てね」

銀時「…ッ あったりめェー…だろ」




額を離し、銀時に笑みを浮かべた。









──私ね、本当に嬉しかったんだ。私の為に、死んでも良いって銀時が言ってくれた事。傷つかないでほしい…そう言ってくれた事。

ねぇ、銀時
私もね、貴方と同じ気持ちなんだよ？
私も…銀時に傷ついてほしくないし、死んでほしくないの。


だからね…もし"貴方がピンチ"になった時、きっと私はこの体を利用しないって、約束はできない。きっと、貴方を助けるために無茶すると思う。

だって、銀時が私を大切だって言ってくれるように私にとっても貴方は大切な人だから。

だからその時は…どうか怒らないでね？



顔を赤らめて照れる銀時を眺める。
ねぇ、ずっと一緒にいて
私の一番近いところで
これからも…ずっと。
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