銀魂 【不死蝶の舞姫】3

第百十八訓 ページ20

no side





銀時「お前だって、無茶してんのに…俺が無茶の一つや二つしねェで、どーすんだ」

「…で、もっ！」

銀時「たっく…Aはホント」


空いている手を頬に添え、親指で流れる涙を拭い取った。「泣き虫だな」と顔色を悪くして笑う銀時にまたAの瞳から涙が溢れる。


どうしてそこまで…



(自分を顧みず…守ろうとしてくれるの？)



そんな疑問が自分の頭の中に浮かぶ。本当に死ぬかもしれなかったのに



(土方さんから庇ってくれた時もそうだ…)




一緒に連れ去られたかもしれない新八と神楽だけを助ければいいのに。どうして…




「銀時は、バカ…だよ。大馬鹿…だッ」

銀時「なんだよ、折角助けに来たのに」

「銀時が死んだら…ッ！悲しむ人だって居るでしょ！？危険な時は人より自分をちゃんと…ｯ」

銀時「優先しろ…ってか？」

「！！な、わかってるなら…なんで」

銀時「昔から言ってんな、ソレ」




懐かしむように目を細める仕草に、Aの心臓が小さく音をたてる。




銀時「自分を一番に優先しねェといけないのは…Aも変わらねーさ。誰かを守る事は立派だ。けど、もういいじゃねぇか、そろそろ自分を大切にしたって」



優しい銀時の眼差しがAを通して、過去のAを見る。




なぁA…オマエにずっと伝えたかったんだ。今更かもしれねーけど…伝えさせてくれ





銀時「まずはオマエが、オマエ自身を守ってやらねーと。なぁA…頼むから自分を、大切にしてやってくれよ。──じゃねーと…」





危険を顧みず常に無茶ばかりしていたお前はさ、いつだって自分より人の心配をしてたっけ。
すくねェ物資の中負傷してる奴が居たら自分の飯…分けてやってたよな。
少食だから大丈夫って言ってたけど、本当は腹減ってたんじゃねーの？あん時の俺、気づかなくて
ごめんな


もういいんだ…人なんて優先すんなよ
私は自分が一番大事なんですってクソみてーな事言って、堂々と胸張って生きろ。

そんなお前を、…今度は俺が全力で護るから。





そっと小さな体を引き寄せる。
大切にしてくれ、そう伝えたかった。
もう誰かを庇ったりなどしないで自分の為に生きて欲しかった


銀時「俺が…悲しむだろ？」
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