第百十一訓 ページ13
Aside
冷たいモノが頬にあたる感覚からゆっくり目を覚ます。ぼんやりする視界と覚醒し切ってない頭でここは何処だか視線だけを動かし確認した。
「……わた…し…」
───生き…てる?
長らく喋らなかったことで口内が乾き、声が掠れ口の中の鉄臭い味に吐き気を覚える。体を動かせば金属が擦れる音に見上げれば手首にまとまりつく冷たい鎖。私は宙吊りにされていた。
何で…生きてるの?
自分の中で感じた"死"の感覚。無数の銃弾が体を貫通した時の焼ける痛みと、血液が流失して凍える寒さ。
焼けるような痛みも徐々になくなり、ただひたすらに眠かった。なのに、…どうして
?「ふぁ〜…んっ…あ、れ…?」
その場にいる自分ではない声に肩が跳ねる。
頼りない照明が中央を照らす、薄暗い室内を目を凝らした。
?「ロン毛の奴が捕まえたって言ってたから見に来たんだけど…いつまでも起きないから俺まで寝ちゃったよ」
「だ…れ…」
靴音を鳴らしながら奥からだれか近づいてくる。動けない体をどうにかしようと暴れるけど、鎖の音が鳴り響くだけで無意味だった。「無駄だよ」と先程まで見えなかった声の主が姿を現す。傘片手に持ち、顔に巻かれた包帯。編まれたサーモンピンクの髪。隙間から覗かす透き通る青の瞳の
(……男…の子…?)
登場したのはどことなく幼さが残る青年だった。
「…あなた誰?」
?「そんな警戒しないでよ。取って食ったりしないから」
宙吊りになっている私の前で歩みを止め、私を見る青年の姿に顔が強ばった。
(……血っ!?)
べっとりと赤黒い血が付着していたから。見たところ怪我はしてない…じゃこの血って
?「…ん?あぁ、これ?邪魔だったから」
「殺しちゃった」と、笑みを浮かべる表情に凍りついた。暗闇に目が慣れてはっきり見える…彼の背後に何体もの天人が血だらけで倒れていたから
?「俺が興味あるのは不死蝶さんだけだったから…」
(…不死…蝶…?)
───ズキンッッッ!!!
「…ッ」
『不死蝶の目覚めはもう時期だ』
脳内に浮かぶ沢山の気泡と…光の屈折…?
──シャン…シャン…
遠くから聞こえる金属
『なぜ──様を拒否する』
──天蓋
『無駄な抵抗はよせ。──は決して──様からは逃れる事はできない』
眩しいぐらいの銀色だった。
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うさきよ - 面白いです‼ (9月1日 1時) (レス) @page42 id: 55ad19f9cc (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 砕けちゃいかんでしょう(笑)それから、本当に更新してくださりありがとうございます! もう一度最初から読ませていただいたのですが・・・やっぱりこの作品が大好きです! これからも頑張ってください (2022年8月24日 17時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - konさん» kon様コメント有り難う御座います。幸せです。うぅー(泣)優しいお言葉ありがたい(´;Д;`)目から汗が…。沢山妄想はしてるのですが…なかなか文字に起こさなくなってしまって。書いて消してを繰り返してました。でも、これからは当たって砕けろで更新します!(笑) (2022年8月24日 1時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 一気読みさせていただきました! すっごく面白くて最高です!! 本当に毎日更新なんていいません、どうかお体に気をつけて更新頑張ってください! (2022年6月21日 16時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - れいさん» おぉぉお!!コメントありがとございます😭そーなんです、ぼちぼち明かして行こうと思ってますッ!!応援よろしくお願いします🙇♀️ (2022年6月19日 0時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い猫 | 作成日時:2022年5月17日 19時