第三十九訓 ページ40
銀時side
銀時「───A?」
見覚えのある背中を追った俺。
変わらない小さな背中はあの頃のままで、紫がかった黒髪が風で揺れていた。
「さか…った…ぎん…とき…」
振り返った紫の瞳が俺を映し、小さな口は俺の名前を口ずさむ。その姿は息を吸う事を忘れるほど綺麗で…目を奪われた。
銀時「……ッ」
Aの姿を目に焼き付けると、俺の中で現実味が増し鼻奥がツンと痛む。
会いたかった。
ずっとずっと、会いたかった。
過去を振り返れば後悔する事ばかりだった。Aが居る事が当たり前で、居なくなるなんて…微塵も考えてなかった。
俺の中でAが如何に大切だったか、コイツが死んでから気づいたんだ。
銀時(こんな小せぇ奴に俺は護られてたんだな…)
情けなさと申し訳なさ、愛おしさが込み上げ
その小さな身体を抱き寄せた。
銀時「ごめん…ごめんな、A」
「……、…」
背後から息を呑む声が聞こえる。
銀時「護れなくて、ごめん」
遠慮がちに持ち上げられた腕が俺の背中に回り
「……大丈夫」
"大丈夫だよ"
何度も繰り返す優しい声が耳に届いた。
赤子をあやすように、ぽんぽんと叩く手のひらの感覚。
慰める仕草もあの頃と何一つ変わらない。
何も変わらないお前が…今ここに居る。
俺は暫くコイツの小さな身体を離せずにいた。
「大丈夫、ですか?」
随分長い間Aを抱きしめていた気がする。小さな体を腕から解放し、俺を心配そうに見上げるA。
銀時「あぁ…さんきゅーな」
「よかった」
心底安心したように頬を緩めた笑みに、心臓が激しく鼓動し始める。
銀時(……やべっ)
不意打ちの笑みは流石にキツい。こう見えて十年年越しの初恋を未だに引きずっている訳で、そんな俺に向けるAの笑顔はかなりの強烈な一撃だった。
ただでさえ理性がギリギリの所を行ったり来たりしてるのに、追い打ちをかける。
感情が、騒ついた。
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迷い猫(プロフ) - なみさん» お返事遅れてももも、申し訳ないです!!!なみ様読んでくださってありがとうございます。いやいや、最高だなんて…逆に読みづらくないですか!?大丈夫ですかね?ガクブル またお暇な時でも読んでやってください(土下座)コメントありがとございました!! (2022年6月6日 18時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
なみ(プロフ) - この小説の表現好き〜♥️♥️甘いスチュの時、乙女心のある表現があるとこっちまでキュンキュンしちゃいます!!(*´▽`)めちゃ好みの合う小説見つけたぞー!最高っす作者さん!!ありがとう!! (2022年5月29日 9時) (レス) @page31 id: 617d92d894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い猫 | 作成日時:2021年11月28日 20時