4.嫉妬 ページ5
.
「えっ、もうそんな？」
彼女は普段から呼び慣れているからか、何でも無い顔で返事をする。そして、俺に対する話し方と違って、少し砕けたような話し方に彼女とマンちゃんの仲の良さが分かってしまった。
それに対してとにかく『嫌だ』という、黒い感情しか沸いてこない。制御不可能なこの感情に、どうして俺はこれほど彼女の事で頭がいっぱいなのかが分からない。
「うん。早よ行かんと…って、ほっぺにまつ毛付いたんで」
「嘘。取って」
「はいはい」
マンちゃんの彼女の頬に付いているまつ毛を取ってあげる手を遮ろうと、手を出しかけた瞬間。
______キーンコーンカーンコーン、
チャイムが鳴った。
ハッと我に返って、出しかけた手を引っ込める。
「急がなきゃ、ごめんねゾムくん！」
彼女はそう言って、マンちゃんと笑いながら走って行く。その姿を後ろから眺めていた。
放課後。トントンから生徒会室に集合とメッセージが来ていたが、そういう気分じゃないから帰ろうと下駄箱に行くと。
「駄目だよゾムくん。帰っちゃ」
「…！」
彼女はそう言って微笑んで、俺の手を引く。この廊下の進む先には生徒会室がある。トントンかマンちゃんあたりが差し向けたんだろう。
運動部の掛け声、吹奏楽部の楽器の音、蝉の鳴き声。騒がしい音だらけの筈なのに、今この瞬間だけは全く耳に入ってこなかった。
ただ彼女の手から伝わる熱が、俺の体温を上昇させる。
______ガラガラッ、
「トントンくん、連れてきたよ」
いつの間にか生徒会室に着いていたようで、彼女は扉を開けてそう言った。トントンから「おーありがとな」と返事がきた次の瞬間、鬱先生が珍しく声を上げた。
「はぁ〜〜〜！？ なんでお前来てん！！！」
女子に対してお前と言う鬱先生に珍しさを感じていると、彼女はいつもの柔らかい声で「女の子にお前って言わないの」と言った。
「分かった？」
「！！ ワカッタ…、」
彼女は微笑んでそう言い、そして俺の手を引いて鬱先生の隣に座らせる。それを見たグルッペンは「すまない、ありがとな天羽」と労いの言葉を投げた。
生徒会室内に全員いるのを確認したトントンは口を開いてこう言う。
「今日からテスト最終日までの約二週間、毎回恒例勉強会をやんで。今回は三年の天羽にも手伝って貰って、俺らで教えていくからそのつもりでな」
.
お礼申し上げる事が遅くなってすいません。
お気に入り、評価ありがとうございます！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なゆり(プロフ) - カナzbさん» わー！！！ありがとうございます！！ 言い当てられて私自身ビックリしてるんですけど、テーマが『純粋な狂気』なんです（超小声）。これからも是非よろしくお願いします！ (2020年2月5日 16時) (
レス) id: fc164f5bf0 (このIDを非表示/違反報告)
カナzb - これ良いですね！題名に誘われたんですが、ちょっとヤンデレ感もあっての純粋っぽい恋愛。は？最高やないか。 これは良いですね、布教しときます。 (2020年2月5日 1時) (レス) id: a1a86ad9f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
