12.本性 ページ13
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「初めて出会った時…？」
俺と彼女が初めて出会ったのは、俺らがサッカーボールで図書室の窓を割ってしまった時だと記憶している。しかし、彼女の期待の目を見るとその時ではないというのが伺えた。
頭を悩ませていると、「やっぱり覚えてないよね」と悲しそうにそう言ってぽつりぽつりと話し始めた。
「私が二年生の時よ。その日はちょうど雨だから階段が濡れていたの。それのおかげで階段から滑って、落ちそうになった私を助けてくれたのが君…。ゾムくんだよ」
その話を聞いて、段々とその日の出来事が蘇る。
彼女が話した通り、あの時は雨で階段が濡れていた。俺の前を彼女が階段から降りていた時足を滑らせたので、ちょうど後ろにいた俺が彼女を支えた。もし俺がいなかったら彼女は頭を打って、大きな怪我に繋がったかもしれない。
そう考えると、あの時助けておいて良かったと心の底から思った。ただ一つだけ、あの時の彼女と今の彼女の姿を比べるとどうにも違う気がしてならない。
「さすがに焦ったの。頭打っちゃう！ って。だから助けてくれて嬉しかった。あの時はありがとう、ゾムくん」
それでね、と言葉を続けた彼女は普段の柔らかい雰囲気とは別の、暗くドロドロとした異質な雰囲気を纏って俺に抱きついた。
「っせ、せんぱっ…！？」
「聞きたいことがあるの。この一週間、頭の中は私の事だけでいっぱいだったでしょう？ ううん、いっぱいだったよね。だって、私の好きな人を知る為に勉強頑張ったんだもんね、私知ってるよ」
「ちょぉ、待ってや先輩。一旦落ち着いて…」
「駄目だよゾムくん、それじゃあ答えになってない」
「何やそれ……ッ、！？」
彼女は顔を歪ませて俺を押し倒した後、上に跨って眼鏡を外した。そうして三つ編みを解いて、この暑さとは似つかないひんやりとした瞳で俺を視姦する。
そして、俺の頬にゆったりと手を当てて恍惚とした表情で、耳、首、喉…と沢山の場所にキスを落とした。時折、落ちてくる髪の毛を耳にかけては、「好きよ」なんて甘い言葉を漏らす。
その度に少しずつ顔が赤くなる俺を見て、彼女は嬉しそうな顔を浮かべるだけだった。しかし、彼女は好きだなんて言うが一向に唇にはしない。
唇以外の場所にキスをされる度、まだかまだかと待っている自分がいる。それを見抜いた彼女は「…欲しい？」なんて言う。
「欲しいッ、」
夏の暑さのせいで理性なんてものはもう無い。
あるのは本能だけ。
End.
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なゆり(プロフ) - カナzbさん» わー！！！ありがとうございます！！ 言い当てられて私自身ビックリしてるんですけど、テーマが『純粋な狂気』なんです（超小声）。これからも是非よろしくお願いします！ (2020年2月5日 16時) (
レス) id: fc164f5bf0 (このIDを非表示/違反報告)
カナzb - これ良いですね！題名に誘われたんですが、ちょっとヤンデレ感もあっての純粋っぽい恋愛。は？最高やないか。 これは良いですね、布教しときます。 (2020年2月5日 1時) (レス) id: a1a86ad9f2 (このIDを非表示/違反報告)
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