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「…っお願い……逃げてや」
紅茶の甘い香りに混じるほんの僅かな硝煙と煙の匂いに眉を顰める。
ぐちゃぐちゃと頭の中を掻き混ぜられているみたいで吐き気がした。狼藉者、と咎める人間は誰も居ない。広い皇宮は水を打ったように静かで。
はふ、と詰めた息を吐いた。胸に込み上げるのは緊張か、恐怖か。彼には分からなかった。
貴女にはもう時間がない、と存外情けなく震えた声にも反応は無かった。悲鳴を上げて命乞いでもしてくれれば一息に殺せただろう。所詮、自分は意気地無しなのだ。ずり落ちた眼鏡を直す事もせず、ただ目の前に有り続ける。
「チーノ…あなた、何故泣いているのですか？」
明らかに瞳は恐怖に満ちているのに。
それでも、言動とちぐはぐな俺の涙を指で拭う彼女はまるで────･･･女神のようだった。
今日、彼女は国を追われる。
.
.
※二次創作
※ほんのり逆ハー
※コメントには検索避けをお願いします。
※過激な暴力表現があります。必要があれば下げます。執筆状態：更新停止中
.「…っお願い……逃げてや」
紅茶の甘い香りに混じるほんの僅かな硝煙と煙の匂いに眉を顰める。
ぐちゃぐちゃと頭の中を掻き混ぜられているみたいで吐き気がした。狼藉者、と咎める人間は誰も居ない。広い皇宮は水を打ったように静かで。
はふ、と詰めた息を吐いた。胸に込み上げるのは緊張か、恐怖か。彼には分からなかった。
貴女にはもう時間がない、と存外情けなく震えた声にも反応は無かった。悲鳴を上げて命乞いでもしてくれれば一息に殺せただろう。所詮、自分は意気地無しなのだ。ずり落ちた眼鏡を直す事もせず、ただ目の前に有り続ける。
「チーノ…あなた、何故泣いているのですか？」
明らかに瞳は恐怖に満ちているのに。
それでも、言動とちぐはぐな俺の涙を指で拭う彼女はまるで────･･･女神のようだった。
今日、彼女は国を追われる。
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※二次創作
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ベス(プロフ) - もちさん» コメントありがとうございます！ストーリーも表現も、人を選ぶ作品だと思っていたので、そう言っていただけて嬉しいです...！引き続き頑張っていきますので、どうぞ宜しくお願いします！ (2021年4月8日 23時) (
レス) id: f3d5c0a1bd (このIDを非表示/違反報告)
もち - すごい、、、表現の仕方が’神すぎます！この作品すっごい好きになりました！続き楽しみです！ (2021年4月8日 19時) (レス) id: e44ee25903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ベス | 作成日時：2021年4月7日 23時
