会談と引き抜き ページ16
.
｢A。そろそろ時間だ｣
『畏まりました。行ってくるわね、オットーさん、ぴくとさん』
｢行ってらっしゃい、A｣
｢ご武運を｣
彼等を一瞥し、彼女は国王の後に続く。
来賓室と呼ばれた国王の後に着いて行くA。戦場は目前にまで迫っていた。
───────────────────
｢ご機嫌よう。本日はお日柄も良く、幹部共々国民一同今日という日を待ち侘びておりました｣
『ああ。どうも。早速本題に入らせて貰うが』
地を這う様なバリトンが響く。
握手を交わし各々用意された席へと座る。
何故か我々国の総統、グルッペン・フューラーと同じく我々国の外交官、オスマン殿。
どちらも強者揃いだ。対面するだけで何もかも見透かされている気さえしている。
扉の前で立っているだけの仕事だが目眩がした。
｢では私から。単刀直入に言わせて貰いましょう。｣
オスマンが細い目を更に細めるとAへと視線を寄越し告げた。
｢A殿を我が我々国に引き抜きたいと思っているのですが｣
開いた口が塞がらないとはこの事だろうか。
──何がどうなっているの…何故！？誰の入れ知恵よ…はっ、あの人以外考えられないわ、鬱とかいうあの人！それ以外考えられないわ…
彼女は彼以外の我々国の重鎮には関わっていない。つもりだ。なので身に覚えが無かった。
『理由をお聞きしても？』
｢前々から目は付けていた。優秀な暗殺者──必ずターゲットは生きて返さない幻の女。痕跡も残さず姿を消す。バックに何か居るとは思っていたが、まさか国を盾に持っているとは。部下に調べさせ、やっと居所を突き止めたのだ。
簡単に言おうか──A、君が欲しい｣
時が止まった気がした。
｢ダメだ。彼女は既に私の所有物。貴殿にくれてやる物は何も無い｣
｢人を物の様に扱いなさるので？幾ら優秀な御方だとしても、人権を保証せねば何も着いては来ませんよ｣
｢着いて来なければ縛り付けてしまえば良い。権力を前にすれば下々の人間は為す術も無く跪くしかなくなる｣
本来ならキュンとする場面で、〈私の為に争わないで…〉などと宣う所なのだろうがAの耳には全く入って来なかった。
引き抜きに応じれる物なら応じたい。こんな国に居る位なら他国へ逃亡した方が良かった。
だが残された者はどうなる。
一番に思い浮かぶのはぴくと。それにオットー。二人を置いて自分だけ楽になるのか。彼女は深く葛藤していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 900人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おつ2(014785wmwi) - 最高だからハッピー○ーンの粉を決めようぜ☆ (2020年7月31日 18時) (
レス) id: b32bfe3549 (このIDを非表示/違反報告)
べす - 朝霧さん» 良い所で焦らすのが趣味ですので()まだまだ物語は続きます！是非またご感想を楽しみにしております！ (2020年7月18日 17時) (レス) id: b38f87aa2d (このIDを非表示/違反報告)
べす - サブ垢での返信御容赦を。思わず笑っちゃいましたｗｗｗ再会してからが本番ですので！ (2020年7月18日 17時) (レス) id: b38f87aa2d (このIDを非表示/違反報告)
べす - 椿さん» うへへへとにやけてしまいそうな内容にするつもりですので、今後とも宜しくお願いします！ (2020年7月18日 17時) (レス) id: b38f87aa2d (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 - いいところで、あぁ、うぁ、下の人と同じですまる (2020年7月17日 19時) (レス) id: dd19b1c917 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ベス | 作成日時：2020年7月11日 9時
