トド松くん？ 2 ページ5
すっかり朝にかぶった水も乾き、日差しがよかったのとタオルのおかげでなんとか風邪は間逃れたみたい。
とはいえ、濡れた髪で出社すれば多少目立つもので髪はアップにしてある。
「じゃあ、お先に失礼します。お疲れ様です」
「お疲れ様〜」
今日の仕事量を終え誰かに捕まる前に定時に上がろうと荷物を纏めて急ぎ足で社外へと出ると時刻は17:36
ここ最近残業続きだった私は早く上がれた気がして何だかこのまま帰るのは勿体ないなぁと腕時計をじっと見つめる
「あれ、今日はアップなんだ」
「あつしくん！お疲れ様」
腕時計に影が差し、顔を上げるとスーツを着こなしたあつしくんがいて「お疲れ様、髪似合ってるね」と片手を上げて微笑みかけてくる
「今日は車？」
「今日は徒歩なの、あつしくんこの後予定は？」
「偶にはレンタルでも借りて家で映画鑑賞でもしようと思ってさ、一緒に来る？」
車の鍵を出して揺らすと目を細めて笑いかけてくれる。他の女性社員はこの仕草が堪らないのだろうか
そんな笑みを今独り占めしてる私は誰かに刺されたりしないか少し心配になる。かと言え暇なものは暇なので答えはもちろん はい、になる。
「そういえば長いことレンタルなんて借りてないかも」
「いい機会じゃん。車とって来るから待っててくれる？」
「うん、ありがとうあつしくん」
お言葉に甘えてあつしくんの背中を見送れば直ぐにお迎えが来て、助手席へと乗り込み近くのレンタルショップまで向かってもらう。
「さっ、着いたよ」
「ありがとう、運転お疲れ様」
車を降りてロックをかけたところを見届ければすぐ近くにあった自動販売機でコーヒーを買って差し渡す
「はは、わざわざいいのに」
コーヒーを受け取ると ぽん、と軽く頭に手を乗せて「ありがとう」と告げてくるあつしくんは、少し歳上なのもありなんだか面倒みのいい兄のように思えてくる
そんなやり取りをして、私達はレンタルショップの中へと足を踏み入れる
「何借りようかな…」
「あつしくんは観たい映画とかないの？」
「いくつか洋画と、あとホラーとか」
私の問いかけに うーん、と顎に手を当てておすすめ一覧の棚の前で立ち止まるあつしくん。
「ホラーとか好きだったっけ？」
「うん、偶に見るよ。…あれ、松野じゃない？」
「本当だ、今日はお休みなのかな」
私の方を振り向きながら答えると、視線はその後ろにあるレジの方へと向き 視線の先を辿るように振り向くと本日2度目のトド松くんの姿があった
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作者名：ハイビ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年5月20日 2時
