. ページ9
「いやどういうこと…」
彼は少し訝しげな顔でこちらを見つめながら紙袋を引っ張る。
「まってマジで」
「はぁ？今更恥ずかしがってるんすか？心配しなくても俺は不味いなんて言わへんよ」
「いやそうじゃなくて…」
これ以上私も引っ張ると紙袋が破れかねないので一旦は手を離した。
「……これ中身なに？」
「え……マドレーヌ…だけど」
「こんな所で行儀悪いっすけど、それなら食べれるし」
「えっ、ちょっと」
いただきます、と私が止めた時にはもう遅く。
彼は私の作った不格好なマドレーヌを頬張った。
彼に好きになってもらえるという気持ちと、ズルをした罪悪感が混ざり合って胸が苦しい。
しかし、彼はそんな私なんか気にせず、マドレーヌをぺろりと食べた。
「見た目も綺麗だし、味も美味しい。残りは後で食べるっすね」
「え…！？あ、うん…！」
特に何も変わりのない彼はまた足早に歩いて行った。
「え、全然変わってないけど…あとそっち生徒会室じゃないじゃんってば……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 163人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさ(プロフ) - ヒーローは遅れてやってくる、普通にお話として大好きです。最後のオチの文が綺麗で素敵です。応援してます。 (2019年4月24日 15時) (
レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - 短い中でストーリーをまとめ、なおかつ綺麗なオチのある作品に仕上げる東雲さんの作風が本当に大好きです。簡潔なんだけど丁寧で飽きのこないというか。あっ勿論東雲さんのギャグセンスも愛してます。無理のない範囲で更新頑張ってください。 (2019年4月20日 0時) (レス) id: 965a17df9d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
