ハ ッ ピ ー エ ン ド は す ぐ そ ば に ページ12
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「トントンくんって、天然…？」
はぁ…？という語尾の上がった抜けた声を出したトントンくんをよそに、私はホチキスをとめる指に力を加える。
夕日がキラキラと差し込む教室に、パチンパチンと軽快な音が響く。
二人きりの放課後の教室は、なんだか少しむず痒い。
「あ、ねえそのプリントとってくれん？」
「あ、お、おう……やなくて、どういうことなん？それ」
「え、どういうことってそのままやけど」
三年間、同じ教室でクラスメイトとして関わってきたトントンくん。
彼は生徒会の役員で、頭脳明晰・容姿端麗。
対して私は普通。平凡も平凡で、特徴がないことが特徴である。普通と定評のある女子高生だ。
しかし、そんな住んでる世界も価値観も違うようなトントンくんと私の仲は悪い訳ではない。
むしろ一番仲がいいのではないか。ベストフレンドじゃない？それは図に乗りすぎか。
まあそれでも友達以上になりたいと思っているのはきっと私だけなのだろうが。
未だに意味がわかっていないらしいトントンくんは、答えを求めるかのように私をじっと見つめる。
そんなに見つめられると照れてしまう。
仕方がない。私は答えを教えてあげることにした。
「トントンくん、無意識に口説くようなこと言うやん？」
「口説く？」
「せや」
『流石やで』
『お前の手綺麗やなぁ』
『お前のそういうとこ好きやで』
言われている身としてはたまったものじゃない。
好きな人にそんなことを目の前で言われる度に何回淡い恋心を孕んだ胸が痛んだことか。
私は綴じ終わったプリント類を整えて立ち上がる。
そして、何でもないように笑ってみせる。
笑顔が引き攣っていないか少々不安なところだが。
「そういうのちゃんと好きな人にせんと、まるで私を口説いてるみたいよ？」
そう言うと、トントンくんは困ったように顔をしかめた。
後頭部をかきながら立ち上がった彼は、ため息をついてこちらを見据え、ゆっくりと口を開いた。
「……いや、口説いてるんやけど」
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うさ(プロフ) - ヒーローは遅れてやってくる、普通にお話として大好きです。最後のオチの文が綺麗で素敵です。応援してます。 (2019年4月24日 15時) (
レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
はるさめ(プロフ) - 短い中でストーリーをまとめ、なおかつ綺麗なオチのある作品に仕上げる東雲さんの作風が本当に大好きです。簡潔なんだけど丁寧で飽きのこないというか。あっ勿論東雲さんのギャグセンスも愛してます。無理のない範囲で更新頑張ってください。 (2019年4月20日 0時) (レス) id: 965a17df9d (このIDを非表示/違反報告)
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