其ノ肆拾陸 これから ページ47
私は悪鬼が消えていくのを、側で見守った。
彼は、最期に「ありがとう、すまなかった」と言って、この世を去った。
きっと彼も最初は、辛かったんだと思う。
でも、人間を喰っていく間に気が狂ってしまった。
私はもう跡形も無く消え去ってしまった場所に手を合わせて、遺体を土に埋葬させてもらった。
そして、空気を頼りに錆兎達の所へ行くと、既に討伐し終わっていて、同じく斬り終えたらしい伊黒さんも側に居た。
任務は以上で、私達は帰ることになり、伊黒さんが凄く意外なことに、お屋敷に泊めてやると言ってくれた。
但し、明日の早朝には出ろと言われたけれど。
屋敷の客用の寝室で錆兎と真菰が眠っている中、私は縁側で座っていた。
「まだ起きていたのか」
「伊黒さん」
ふと声をかけられて、その方向を見ると、風呂上がりらしい寝間着の伊黒さんが立っていた。
…え?!れ、レア…!
ちょっと心の中でドキドキしながら、表情は普通のままをキープする。
「明日早朝に出ろと言った筈だが?」
「目が冴えてしまって」
「…そうか」
すると、伊黒さんは近くに寄って、側の柱にもたれた。
…伊黒さんって、こんな人だったの…?
もっとこう、ネチネチする人だったんじゃ…。
というか、イケメン。
「お前は鬼殺隊に入るのか?」
「はい。…伊黒さん」
「なんだ」
「私も、悪鬼は大嫌いです」
私がそう言うと、彼は少し驚いたような空気を出して、眉を顰めた。
「先の任務で斬った悪鬼は、人の命を自己満足の為に喰う悪鬼だったんです。愉快そうに笑っていました。私はそんな悪鬼が大嫌い。…でも…やっぱり、元は人間だった。最期は感謝と謝罪の言葉を言ってこの世を去りました。きっと悪鬼はなりたくてなってるわけじゃない。だから、私は許せないです。悪鬼にして、人々を襲わせる鬼舞辻無惨が」
すると、彼は言った。
「なら、鬼殺隊に入り、柱になる程の実力をつけて、討伐すれば良い。俺は柱になった奴は信用するつもりだ」
彼なりの慰めだろうか。
アニメでは見ることの出来なかった一面を見れて、嬉しくなって笑った。
私は慰めとして受け取って、感謝を一つ述べた。
もっと、強くならねば。
私は綺麗に輝く満月を見上げて、そう思った。
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抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - あやめさん» 嬉しいです!1ヶ月近く更新出来ずにすみません…。早く新しい話を読んで頂けるように頑張ります!コメントありがとうございました! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください!更新お願いします!!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - (=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢さん» はじめまして!型の提案ありがとうございます!とても良いですね!是非採用させてください!説明もつけて頂きありがとうございます! (2020年4月15日 8時) (レス) id: 606e94aca2 (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢(プロフ) - はじめまして。型のことですが、「巻雲・天波虹」けんうん、あまはにじ というのはどうでしょう?説明半円を描くように何回も切る。それは相手には遅く見えるが、実際はものすごい勢いで切りつけている…的な。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: ed1bcccac4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - チョコさん» 了解です!返信ありがとうございます! (2020年3月13日 11時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鷹麦 | 作成日時:2019年12月21日 19時