其ノ弐拾捌 庭の蝶と目覚めぬ花柱 ページ29
「ここが、庭」
「あの時の。…あっ、蝶々だ」
色々案内してもらって、最後に辿り着いた場所は、あの日柱としのぶさんとカナヲを風の力で浮かせた庭だった。
アニメのように蝶が舞っていて、試しに指を近づけると、ちょんと乗ってくれた。
蝶々まで可愛いとは。
三人はというと、真菰と錆兎は蝶々を眺めて楽しそうにしていて、カナヲは私の隣で私の指に止まっている蝶をじぃっと見つめている。
そんな彼女には申し訳ないが、少ししたいことがあるので、蝶を空中に飛ばす。
「カナヲ、少し真菰と錆兎と居てくれないかな?」
「あの二人と?」
「うん。二人共良い人だし、優しいから馴染めると思う。無理に馴染めなくても、一緒に居るだけでいいから、ね?」
少し迷ったような空気を出したカナヲだったけれど、その後、こくんと頷いて二人の方へと駆けて行った。
錆兎と真菰は私の方を見て、不思議そうな空気を漂わせた。
そんな二人によろしくという意味を込めて、軽く頷くと、二人は微笑んで手を振った。
凄いな、これだけで通じちゃうなんて。
そんなことを考えながら、私はとある部屋の前に来ていた。
軽く扉を叩いて開く。
其処には、静かに眠っているカナエさんと側にある椅子に座って眠っているしのぶさんが居た。
やっぱり眠かったんだよね。
そう思いながら、しのぶさんに自分の羽織をかけてあげて、反対側の椅子に腰掛ける。
すやすやと眠っているカナエさんの呼吸は穏やかで、ただ寝ているようにしか見えない。
けれど、やっぱりあの血鬼術が効いているのだろうか。
どうすることも出来ない私は手を伸ばして、彼女の片手を包むように握った。
カナエさんも剣士の手をしていた。
その手は生きているということを表すかのように温かかった。
「カナエさん。しのぶさんもカナヲも待ってますよ。私も錆兎も真菰も、貴女の笑顔を待ってるんです。だから、早く目を覚ましてほしいなぁ」
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抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - あやめさん» 嬉しいです!1ヶ月近く更新出来ずにすみません…。早く新しい話を読んで頂けるように頑張ります!コメントありがとうございました! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください!更新お願いします!!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - (=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢さん» はじめまして!型の提案ありがとうございます!とても良いですね!是非採用させてください!説明もつけて頂きありがとうございます! (2020年4月15日 8時) (レス) id: 606e94aca2 (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢(プロフ) - はじめまして。型のことですが、「巻雲・天波虹」けんうん、あまはにじ というのはどうでしょう?説明半円を描くように何回も切る。それは相手には遅く見えるが、実際はものすごい勢いで切りつけている…的な。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: ed1bcccac4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - チョコさん» 了解です!返信ありがとうございます! (2020年3月13日 11時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鷹麦 | 作成日時:2019年12月21日 19時