少年 ページ3
そんなある日一人の少年を見つけた。僕と同じくらいの歳だ。
その少年は次の日もそのまた次の日も窓からじっと外を見つめていた。
僕は気になってその少年に声をかけてみた。
『君はそこから何が見えるのだ?毎日毎日同じ景色を見ていて飽きないのかい?そんなに外の景色を見たいのならば、外に出ればいいではないか。』
少年は突然声をかけた僕を見て少々びっくりしていたが、ふっと笑って言った。
「出たいけど出れないんだよ。出たくても出れないんだ。」
少年は寂しそうに笑いながらそう答えた。
何故?と僕は聞いた。
少年は答えてくれた。
『生まれつきの病気で体が思うように動かないんだ。もう長く無い。僕は一度も外へ出たことが無くってね。叶うんなら一度外へ出てみたいな。』
僕は何故か胸が苦しくなった。
僕はいつの間にか少年に聞いていた。僕に何かできることはないか、と。
少年はこう答えた。
「君の持っている能力で僕を外に連れて行ってくれ。あっ、俺からは力持ってかないでね。死んじゃうから。」
と。僕は心のそこから驚いた。
少年には僕の力について話してないし、
この町の誰にも僕が例の殺人鬼だってバレてなかったし、
ましてや、知っていたとしても殺人鬼と呼ばれるバケモノと普通に接して話をしてくれたのだから。
僕はこの時はっと気づいた。僕がこのこの世界に生まれてきた理由。
僕が今ここに存在している理由が分かった気がしたのだ。
僕はこの少年に外の世界を見してあげるために生まれてきたのだと。
そう思ったら嬉しくなった。
だが僕は少し考えた後、僕は少年に言った。
『すまないが、その願いは叶えられない…。能力を二度と使わないと決めたのだ…。』
少年の願いを叶えたかったが、脳内がダメだ!と叫んでいる。
期待させておいて余計に悲しくさせたのでは無いか、とか、
やっぱり警察に通報する。
とか言うんじゃ無いかとか、
激怒するんじゃ無いかとか、
色々な恐怖で頭の中がいっぱいになった。
だが少年の反応はどれでも無かった。
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作者名:魔水 | 作成日時:2020年6月6日 18時