観音坂先輩の魅力発見日記。

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｢ う、わーっ！海だあーっ！ ｣

｢ うわ、お前らうるさ ｣




赤い太陽、青い海、そして白い砂浜。ありきたりな表現だけれどこの眩しい景色を目の当たりにしてはしょうがない。普段見ることの無い開放的な景色に、隣で耳を塞ぐ小林のことを無視してわたしはそれに見惚れていた。


待ちに待った横浜旅行。晴天に恵まれたその日に、わたし達は横浜の地に降り立っていた。ずっと楽しみにしていたせいか、昨日の夜はあまり眠れなかった気がする。営業課は一課と二課に別れているから、合わせれば20人程。一課の人達とは実質あまり関わったことがないから少し不安だけれど、それでもこの浮わついた空気の中では上手くやれそうな気もする。

思わずちらりと観音坂先輩を見た。目の下の隈はいつもの事で、決して昨日楽しみすぎて寝られなかったから、とかではないだろう。観音坂先輩に限ってそんなことはないと思うし。
一日目は午前午後通して海水浴だ。この日の為に水着も新調してきた。大好きな女性上司である木下先輩に声をかけられ、其方を見る。着替えに行こっか、その言葉。こくりと頷き、更衣室に向かって歩き出す木下先輩の背中を追いかけた。





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｢ あ、水着買ったの？かわいいじゃない ｣





木下先輩がちらりとわたしを見てそう言う。素直に照れくさくて、ありがとうございます、とお礼を口にした。
白いレースとリボンがあしらわれた、下地まで白の水着。少し地味すぎるかなとは思ったけれど、あまり派手なものも年齢に見合わないし。わたしみたいなタイプはこれくらいが良いのかもしれないと思い、これを購入した。社会人になれば到底自分の体型に自信なんてなかなか持てなくて、ビキニが精一杯。上には必ずパーカーを羽織ると決めていた。

木下先輩の方を見ると、黒いビキニタイプの水着を見事に着こなしていた。いいなあ。木下先輩は細い上に胸があるからすごくスタイルがいい。わたしもそんなんだったらもう少し派手な水着も着るのに。
少しむくれているわたしに気付いたのか、木下先輩は少し笑いながら言った。





｢ それくらい清楚な方がAちゃんに合ってる。観音坂くんもイチコロね ｣

｢ ……はえ？ ｣





語尾にハートが付きそうな声色でそう言う木下先輩。けれど出された言葉は流れのままに受け入れられるものでは無い。

いや、なんで観音坂先輩の名前が出るんだ。
わたし、小林以外に観音坂先輩が好きだって言ったことないんだけど。

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