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8. 観音坂先輩は我慢強い。 ページ33

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観音坂先輩が変だ。

何がどう、と聞かれると上手く言えないけど、絶対変。わたしはデスクに座ったまま、少し離れた所にいる観音坂先輩をじっと見つめた。


隣に座る小林が何見てんだよ、とわたしの視線の先を追う。そこにあった観音坂先輩の姿に少し呆れたような溜息を着いた。
ほんと観音坂先輩見んの好きだよなあ。そう言ってわたしを見る。そうなんだけど。確かに観音坂先輩のこと好きだし自然に見ちゃうけど。今日のこれは違うんだって。見つめた先の観音坂先輩は、普段とどこか違って見えるのだ。




「 なんなんだろう……何が違うんだろう 」



今日、その違和感に気づいてからずっと見ているけれど、いまいちピンと来ない。観音坂先輩のことは普段からよく見ている方だと思うのだけど、まだ観察力が足りなかったのだろうか。

と、考えながら見つめているうちに、観音坂先輩が立ち上がった。資料を纏めるのに必要な書類を取りに行くのだろう。だが、その時初めて違和感の原因に気付けた。
今、少しふらついたか。僅かだが観音坂先輩が立ち上がった瞬間、その重心が傾いた気がする。足元が揺らついたというか、ほんの少しだけどその動きに違和感を感じたのだ。それは、今日一日ずっと感じていた違和感だ。それに気付いたはいいけれど、本当に一瞬だったからわたしの思い過ごしということもある。もし声をかけてただの誤解だったら嫌だ。そもそも今のわたしと観音坂先輩はそんな気軽に話せる関係でもない気がする。うん。

小林が隣で大きくあくびをする。取り敢えずは仕事に集中するか。わたしは心の中で自分に言い聞かせ、観音坂先輩から視線を離した。






。○




「 う、あ〜!つっかれたあ! 」




大きく伸びをして、誰も居なくなったオフィスで声を出す。今日は比較的時間がかかってしまい、ほかの社員はとうに帰宅の途についていた。何気にオフィスに一人だけ残るのって初めてな気がする。薄暗いオフィスは少し怖いけれど頑張ったという証明をしているようで、ほんの少しだけ自分が誇らしく感じる。
さて、最後の仕上げをしてからココアでも一杯飲んで帰ろうかな。そう思いもう一度ペンを手に取る。と、その時だ。がチャリと音がして、オフィスの扉が開いた。誰だろう、と其方に目を向けて見えた姿に、思わず声が漏れる。その人は絶対にもう帰ったのだと思っていたから。





「 え、観音坂先輩、!? 」

「 あ、日下部さん……おつかれさま 」

。→←。



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葡萄爽希(プロフ) - どっぽちん…君は最高にかわいいよ!!!! (2022年10月4日 21時) (レス) @page45 id: d897661d77 (このIDを非表示/違反報告)
y - オリキャラ出すなら注意書きしてほしかった… (2022年5月7日 8時) (レス) @page15 id: 103c948e3e (このIDを非表示/違反報告)
ヒプマイ好き推し決められん - どっぽちん…お前可愛いかよ…(((((殴はっ!!!(`°A°´)し…死ぬところだった…ヤバイヤバイ((汗 良い作品ありがとうございます!!!応援します!!!頑張ってください!!!!!!! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきごん - ステキな作品をありがとうございます…!!どぽちん可愛い…!! (2019年10月2日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ.(プロフ) - れをさん» コメントありがとうございます。最後までお読みいただき、また独歩くんと夢主ちゃんを見守っていただき本当に有難いです。完結できたのも読者の皆様のおかげだと大変嬉しく思っております 。○ 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 (2018年11月25日 8時) (レス) id: c3377e09aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ. | 作成日時:2018年10月12日 17時

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