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あれから再び歩き始め数分。目的の営業先に辿り着いた。
この病院を訪れるのは初めてで、新人のわたしにとったらこんな大きな場所に仕事で訪れるのも初めて。そんなわたしの硬い動きに気付いてか、観音坂先輩は「おれの知り合いの先生がいるんだ。すごくいい人だから大丈夫」と言って笑いかけてくれた。其のいつもと変わらない下手くそな笑顔に安心する。わたしはこくりと頷き、歩き出す観音坂先輩の背中を追ってその病院へ足を踏み入れた。
さすが都内でも有数の大病院、といったところだろうか。まずエントランスが綺麗だ。まるで一家のリビングのような広さのエントランス、それから受付嬢が五人程。いろんな科が混在しているようで、プレートが目に入った。観音坂先輩はその中を突っ切り、精神科と書かれたプレートを右に曲がる。素直について行けば廊下に並ぶ病室が目に入った。その一番手前に、診察室があるらしい。
「 此処にいつも先生がいるんだ。今日は新しい機器の導入に来ただけだから大丈夫 」
こんこん、軽い音を鳴らしてから扉が開かれる。一気に視界が開けたかと思ったら、奥の椅子に座るダークパープルが目に入った。甘い色をしたその髪を靡かせる姿は、見たことがある。テレビの中で、観音坂先輩の隣に。シンジュクディビジョン代表、麻天狼の神宮寺寂雷、その人だ。
想像はしていた、覚悟はしていたけれどなんとも言えない圧迫感に、少し息が詰まる。けれどそれは神宮寺先生が口を開いたことですっと無くなった。あまりにも、優しい声だったから。
「 いらっしゃい、独歩くん。今日はかわいらしいお嬢さんと一緒なんだね 」
「 おれの部下で、日下部Aさんです。かわいらしいだけじゃなくて、すごく優秀です 」
「 か、観音坂先輩っ……!く、日下部Aと申します。よろしくお願い致します 」
よろしくね、と笑う神宮寺先生。うう、観音坂先輩があんなに熱く語るのも分かるなあ。すごく穏やかな雰囲気で、なんていうか、すべてを包んでくれそう。ファンになりそうだ。もちろん麻天狼箱推しだけれど。
さて、と一息つくと観音坂先輩はダンボール箱を床に置き、開け始めた。
そうだ。何か勘違いをしているようだけど、わたし達は仕事をしに来たのだ。わたしは観音坂先輩の後に続くように同じ動作をした。
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葡萄爽希(プロフ) - どっぽちん…君は最高にかわいいよ!!!! (2022年10月4日 21時) (レス) @page45 id: d897661d77 (このIDを非表示/違反報告)
y - オリキャラ出すなら注意書きしてほしかった… (2022年5月7日 8時) (レス) @page15 id: 103c948e3e (このIDを非表示/違反報告)
ヒプマイ好き推し決められん - どっぽちん…お前可愛いかよ…(((((殴はっ!!!(`°A°´)し…死ぬところだった…ヤバイヤバイ((汗 良い作品ありがとうございます!!!応援します!!!頑張ってください!!!!!!! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきごん - ステキな作品をありがとうございます…!!どぽちん可愛い…!! (2019年10月2日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ.(プロフ) - れをさん» コメントありがとうございます。最後までお読みいただき、また独歩くんと夢主ちゃんを見守っていただき本当に有難いです。完結できたのも読者の皆様のおかげだと大変嬉しく思っております 。○ 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 (2018年11月25日 8時) (レス) id: c3377e09aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ. | 作成日時:2018年10月12日 17時