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｢ え……、朱里が、こっちに、？ ｣
翌日。出勤したわたしは観音坂先輩の隣に立っていた。玄関で偶然鉢合わせ、どうせ同じ階なのだからと共に行くことになったのだ。チャンスだと思った。ゆっくり歩を進めながら土曜日の出来事を話す。朱里くんがこの新宿に来ていること、あと一ヶ月ほどはこっちで過ごすこと、あの時言った言葉の一字一句も。
観音坂先輩は動揺の瞳を見せた後、俯いて少し立ち止まった。上手く飲み込めないようだ。だが、もう一度顔を上げた時、観音坂先輩の顔には薄い笑顔が浮かんでいた。
｢ そっか、朱里の奴、元気そうなら良かった ｣
｢ ……会わないんですか？折角久し振りに弟に会える機会があるのに ｣
｢ 会う資格なんてないよ。おれには ｣
観音坂先輩は瞳を伏せた。
たしかに観音坂先輩は、朱里くんと会いにくいようだった。会いにくいというか、会いたくないというか。だけど、そこに朱里くんの言っていたような感情はないように思える。少なくとも、観音坂先輩が朱里くんのことを良く思っていない、ということはないだろう。観音坂先輩の目を見ていれば、なんとなく分かるのだ。
だったらば何故、観音坂先輩は朱里くんと会おうとしないのだろうか。聞いていいのか、と少し迷ったが、聞いてみることにした。すると観音坂先輩は歩くスピードを緩め、わたしから視線を逸らした。思い返すように、地面を見つめる。ぽつりぽつりと語り出したのは、観音坂先輩と朱里くんの物語。
｢ 彼奴の為に、なんでもしてやりたかった ｣
幼い頃に母を亡くし、父子家庭で育ってきた観音坂先輩と朱里くん。一日中働きに出ている父の代わりに、朱里くんの面倒を見ていたのが観音坂先輩だった。朱里くんのことが宝物みたいに大切で、この世で一番暖かい光だった。
それだから、観音坂先輩は今のように慎重すぎる性格になったのだ。朱里くんが第一志望の大学の受験に失敗した時、観音坂先輩は酷く自分を責めたらしい。自分がもっとどうこうしていれば朱里くんは志望の大学に行けたのに、と。きっと観音坂先輩お得意の過剰妄想だ。朱里くんは受験の失敗が観音坂先輩のせいだなんて、これっぽっちも思っていない。先日会話した様子では、きっと。けれど観音坂先輩のことだ、必要以上に重く受け止めているのだろう。
恐らくこれが観音坂兄弟の蟠り。
朱里くんと観音坂先輩が、互いに会おうとしない理由。互いが互いを想いすぎたが故の、すれ違いだ。
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葡萄爽希(プロフ) - どっぽちん…君は最高にかわいいよ！！！！ (2022年10月4日 21時) (
レス) @page45 id: d897661d77 (このIDを非表示/違反報告)
y - オリキャラ出すなら注意書きしてほしかった… (2022年5月7日 8時) (レス) @page15 id: 103c948e3e (このIDを非表示/違反報告)
ヒプマイ好き推し決められん - どっぽちん…お前可愛いかよ…(((((殴はっ！！！(`°A°´)し…死ぬところだった…ヤバイヤバイ((汗 良い作品ありがとうございます！！！応援します！！！頑張ってください！！！！！！！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきごん - ステキな作品をありがとうございます…！！どぽちん可愛い…！！ (2019年10月2日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ.(プロフ) - れをさん» コメントありがとうございます。最後までお読みいただき、また独歩くんと夢主ちゃんを見守っていただき本当に有難いです。完結できたのも読者の皆様のおかげだと大変嬉しく思っております 。○ 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 (2018年11月25日 8時) (レス) id: c3377e09aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ましろ. | 作成日時：2018年10月12日 17時
