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なんだ。なんなんだ。
この異様な空間はなんなのだろう。わたしの行きつけのカフェ。落ち着いた雰囲気が大好きな、いつもの席。その席に座って一人で読書に耽る時間。だけど今日はその空間に異空間が存在している。わたしの正面の席につき、運ばれたレモンティーを口にする青年。相席を許可した覚えは欠けらも無いんだけどなあ。
「 日下部ほんとに俺のこと覚えてねえの。まあ特別関わりが深かったわけでもないしな 」
「 ごめんなさい、失礼なことを…… 」
「 そんな深刻な顔しなくってもいーって 」
俺が日下部に気付いて声掛けただけだからさ。
図々しい奴だと思えば案外優しいことを口にして人懐こい笑顔を浮かべる。そろそろ名前を教えて欲しいのだが、なかなか言い出すことも出来ない。わたしが一方的に彼のことを忘れているが故に、なんだか失礼な気がして。
そんなわたしの思いを汲み取ってくれたのか、彼はストローから口を離して、少し考えるような仕草を見せた。それから数秒、彼は閃いた、と言いたげな顔をしてから、わたしの目を見た。
「 あ、そーだ。ほら、高校2年生の時、クラスで劇やったろ 」
「 ああ、あった。確かロミジュリで、わたしがジュリエットやったの 」
「 そうそう。あん時のロミオって誰だっけ 」
「 それは、確か、かんのんざかく、…… 」
ああ、そうだ。どうしてわたしは思い出せなかったのだ。どうしてわたしは彼の存在と観音坂先輩の存在を括りつけられなかったのか。観音坂なんて苗字、滅多にあるものでないのに。
どうして彼と観音坂先輩が重なって見える時があるのか。簡単な話だった。彼と、観音坂先輩が、とても似通っているから。仕草や風貌、その柔らかさまでも。
「 かんのんざかじゅり。思い出した? 」
観音坂朱里、と名乗った彼は、幾年か前の彼となんら変わらないのだ。
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葡萄爽希(プロフ) - どっぽちん…君は最高にかわいいよ!!!! (2022年10月4日 21時) (レス) @page45 id: d897661d77 (このIDを非表示/違反報告)
y - オリキャラ出すなら注意書きしてほしかった… (2022年5月7日 8時) (レス) @page15 id: 103c948e3e (このIDを非表示/違反報告)
ヒプマイ好き推し決められん - どっぽちん…お前可愛いかよ…(((((殴はっ!!!(`°A°´)し…死ぬところだった…ヤバイヤバイ((汗 良い作品ありがとうございます!!!応援します!!!頑張ってください!!!!!!! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきごん - ステキな作品をありがとうございます…!!どぽちん可愛い…!! (2019年10月2日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ.(プロフ) - れをさん» コメントありがとうございます。最後までお読みいただき、また独歩くんと夢主ちゃんを見守っていただき本当に有難いです。完結できたのも読者の皆様のおかげだと大変嬉しく思っております 。○ 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 (2018年11月25日 8時) (レス) id: c3377e09aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ. | 作成日時:2018年10月12日 17時