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1. 観音坂先輩は顔がいい。 ページ2

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入社2ヶ月で自分の勤める企業がブラックだと気付くのは、些か早すぎではないのか。
心の中でそんなことと相変わらず頭頂部の寂しい課長への悪態を繰り返し呟きながら、わたしはいつもの様に書類の整理に追われていた。

営業課といっても、四六時中外に出ている訳では無い。営業に出る為の商品管理、プレゼンテーションの演習、そしてそれに関わる書類の作成や確認。仕事をあげ出せばキリがない、と言ってもいい程毎日は忙しい。残業はやたら多い割に給料は出ないし、課長からの部下へのあたりは妙にキツイ。これをブラック企業と言わずして何と言うのだろうか。入社2ヶ月、もう既に正直辞めたいと思っている。


だがわたしには辞められない訳がひとつ。

それは先日心に決めた観音坂先輩の観察だ。


観音坂先輩のことを知る為には最低限この会社で彼の部下という立場を保っておかなければならない。別に課を移動しても話しかけに行けばいいだけなのだが、正直言ってそんなに親しい仲である訳でもないし。今はまだ彼の部下であった方が何かと得なのだ。何かと。


さて、と一息ついて、早速観察を始めなければと書類を手に取る。仕事は確かに忙しいが、自分の欲と並行できてこそ真の社会人。わたしは手を動かしつつも、横目で少し離れたデスクに居る観音坂先輩を見た。





「 はい……此方の書類ですね、えっと…… 」





観音坂先輩は他の人と話をしているようだ。

相変わらず目ぇ合わせようとしないなぁ、あの人。人見知りなのかコミュ障なのか。いや、このふたつは大体同じ意味か。そんなことは置いておいても、観音坂先輩は人とあまり目を合わせようとしない気がする。人と話してるように見えて、常に自分に言い聞かせてるって言うか。なんというか不思議な人だ。
だけど観音坂先輩の声は優しい。最初は小さくて聞き取りにくいと思っていただけだったけど、耳をすませてみると良く分かる。想像より少し高めなトーン、落ち着いた声色。耳にすっと入って、脳に直接届いて溶かしていきそうな、甘い声。あの貧弱な見た目からはとても想像出来ない声だ。失礼かもしれないけど。


ただ観音坂先輩のことは、まだ知らない。



そんなことを考えていたら、何時の間にか仕事の手を止め観音坂先輩の方だけをじっと見つめていてしまったようで。ばちりと絡んだ視線に、思わず顔を背けてしまった。観音坂先輩は、どんな顔をしているだろう。

。→←観音坂先輩について。



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葡萄爽希(プロフ) - どっぽちん…君は最高にかわいいよ!!!! (2022年10月4日 21時) (レス) @page45 id: d897661d77 (このIDを非表示/違反報告)
y - オリキャラ出すなら注意書きしてほしかった… (2022年5月7日 8時) (レス) @page15 id: 103c948e3e (このIDを非表示/違反報告)
ヒプマイ好き推し決められん - どっぽちん…お前可愛いかよ…(((((殴はっ!!!(`°A°´)し…死ぬところだった…ヤバイヤバイ((汗 良い作品ありがとうございます!!!応援します!!!頑張ってください!!!!!!! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきごん - ステキな作品をありがとうございます…!!どぽちん可愛い…!! (2019年10月2日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ.(プロフ) - れをさん» コメントありがとうございます。最後までお読みいただき、また独歩くんと夢主ちゃんを見守っていただき本当に有難いです。完結できたのも読者の皆様のおかげだと大変嬉しく思っております 。○ 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 (2018年11月25日 8時) (レス) id: c3377e09aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ. | 作成日時:2018年10月12日 17時

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