第九話 ページ11
それから数か月たったある日。
いつものように雀の声で目が覚める。
ふわぁーあ、と一人で大きなあくびをしながら伸びをすると、体の異変に気が付いた。
少しばかり、透けているのだ。
…いやまぁ幽霊だからな、うん透けているのは当たり前なのかもしれないが。
俺から見た視点では、自分の体は透けては見えない。
だがしかし、どういうことだろう。
目の前でぐーぱーぐーぱーしている自分の拳はすり抜けて、座っている屋根が透けて見えている。
『……もうすぐ、俺が俺でないものになってしまうとでもいうのか』
悪霊だのなんだのいろいろ言われてきた俺だが、正直言って
怨念も何も忘れて最近は寝てばかりだ。
あいつらのこともめんどくさいという理由であまり相手をしていない。
屋根の上にのってしまえばこちらのもの、あっちはもう廃れているとはいえ重要文化財に
手を出すことはできないからな。
どうやらあいつらは、俺のことを説得できるまで誰にもとられないように
ここを重要文化財とかいうもんに指定したらしい。
おかげで肝試しや興味本位でやってくるやつらはいなくなったが、ここは俺の家だっての。
『まぁ、死んだところで。あいつらに名前も何も教えてないしな。』
あいつ…グルッペンは俺のことを患部にするだのなんだの言っていたが、
死んでも働かされるなんて御免だ。
十分といえば十分だった。
もうよく覚えていない過去のことを気にせずに、のんびり過ごせたからな。
どこかで、悪霊が時を過ぎて現世に居続けると動物霊になってしまうと聞いたことがある。
言葉が通用しない分、質が悪いんだとか。
…まぁ、人間も所詮は動物であり、言語は同じなのに内容が理解できない奴なんかごまんといる。
俺の場合大抵の人には見えないんだし、そのまま消えても問題ない。
なんせ死んでるからな。
そよそよとふく風。
ここから見える我々国の街並み。
この街は好きだ、とても綺麗な街だと思う。
『ここで好き勝手出来ただけ幸せだ、残り少ないんだろうけど
絶対最後までここのかねぇ。』
ふ、と柄にでもなく笑みを浮かべて景色を見る。
多少は、あいつらとの押し問答も楽しかったんだろう。
だが、時間は流れるから人は美しいんだ。
次の日、その次の日も俺はどんどん薄く透けていった。
『はは、もうそういえば自分の顔も覚えてないな。』
自分の手のひらを見つめながらつぶやく。
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海老天2(プロフ) - 神ですね。ありがとうございます (2022年8月1日 19時) (
レス) @page4 id: 33cb616463 (このIDを非表示/違反報告)
＠優斗（まさと）(プロフ) - 柚衣さん» あざます！初心者のゴミ副産物なので上手く行かない事も在りますがよろしくお願いします！ (2022年8月1日 17時) (レス) id: e352abdd5b (このIDを非表示/違反報告)
＠優斗（まさと）(プロフ) - はく。さん» あ成程？そういえばそうやん俺馬鹿やん！！ｗ何度もすいません！！ｗ (2022年8月1日 17時) (レス) id: e352abdd5b (このIDを非表示/違反報告)
はく。 - ＠優斗（まさと）さん» 再度失礼します。『我.々だ』のところを検索避けしてほしいという意味ですm(__)m (2022年8月1日 17時) (レス) id: a5036f3c9c (このIDを非表示/違反報告)
柚衣 - 続き、めちゃくちゃ楽しみです！更新頑張って下さい、応援してます(*≧∇≦)ﾉ (2022年8月1日 13時) (レス) @page3 id: a954c39e8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優斗_1128 x他2人 | 作成日時：2022年8月1日 10時
