#22 ページ28
他愛無い話をしていればふと携帯が外套のポケットで震えた。
ごめん、と一郎に言って立ち上がりながら電話に出る。
『もしもし』
「もしもしじゃねえよ。何も言わずに勝手にどっかいってんじゃねえ。」
久しぶりに聞く、澤藤の乱暴な口調。
ごめんごめん、と謝りながら今◯◯にいる、とだけ伝えて電話を切った。
『急にごめんね、ちょっと澤藤から電話きててさー』
「大丈夫です‼てか、マネージャーさんに言われるってことは帰ったほうがいいんじゃ……」
大丈夫大丈夫、と笑ってはぐらかせば彼も渋々頷く。
もう既に氷だけしか中身が残っていないアイスティーの入っていたコップを持ち、氷を押し込む。
奥歯で噛み砕く氷の感覚に頭の奥がつんと疼いた。
「あ、あの‼」
一郎が意を決したように顔を急に上げて言う。
どうかした?と微笑んで誤魔化そうとしたがどうにもうまくいかない。
「リンさん____」
彼の唇からこぼれてきた言葉に、氷を噛み砕いていた顎から力が抜けた。
早すぎる。
『……違うよ。俺は』
俺は
なんなんだろうか。
無理やり作った笑みを浮かべ、財布から一万円札を抜き取り、テーブルに置く。
『俺の奢り。お釣りはあげるよ。』
またね、といそいそと言って店を出ればそこには息を切らせた澤藤がいた。
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ぷにぷに左衛門 - 続きが楽しみです! (2020年12月14日 20時) (レス) id: b1fc0b4e72 (このIDを非表示/違反報告)
桔梗(プロフ) - とっても面白いです!もう更新はしないのでしょうか? (2018年12月16日 23時) (レス) id: 8b992b69e6 (このIDを非表示/違反報告)
春日音尾(プロフ) - クロりんごさん» ありがとうございます。分かりにくくてすみません、男主です。レス、って言うんですね。初めて知りました……これからも読んでいただけるとありがたいです。 (2018年11月8日 15時) (レス) id: 9bf1cb7bb4 (このIDを非表示/違反報告)
クロりんご(プロフ) - タグに男主って書いてるんですが、これは女主なのでしょうか?後、レスは普通に投稿時間の後にある(←レス)という所を押せば出来ますよー。 (2018年11月8日 14時) (レス) id: 738c9471c2 (このIDを非表示/違反報告)
春日音尾(プロフ) - 枝豆将軍さん、ありがとうございます。至急直させていただきます。ご指摘、ありがとうございました。頑張らせていただきますのでこれからも読んでいただけると嬉しいです。 (2018年11月8日 9時) (レス) id: 9bf1cb7bb4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春日音尾 | 作成日時:2018年11月3日 19時