彼は光になりたかった

#11 ページ17

山田一郎side


『……はい、リンです。』


こんな特徴的な格好してたらそりゃわかりますよね


そう言って綺麗に笑う彼は性別とか言う概念全てを超越して美しさを持っていた。


やばい無理尊いしんどい()


「え、リンさん本拠地はアキバっすよね？」


思わず口からこぼれていた言葉に頷く。


肩くらいまで伸びて、巻かれた白い毛先が揺れた。


カリスマシンガー、リン。


デビューしたてからずっと追いかけてきた。


『そういえば間違っていなければいいんだけど……』


ポケットから携帯を取り出し、青い鳥を開く。


なにやらタップしてから画面を見せてくる。


そこには俺のアカウントが。


『これ、君のアカウントであってるかな？』


はい、と頷けば当然のように微笑み、フォローしたよと言われる。


フォロー？


フォロー？


フォ、ロー……


フォロォォォォォォォォ‼



「え、お、お、俺みたいな一般人がリンさんみたいな方にフォ、フォ、フォローしていただけるなんて……そんなおこがましい」


いいんだよ、と微笑む。


『ずっと俺のこと応援してくれてたでしょ？だいぶ初期の頃から。』


それに、俺がしたいことだから。


そう言って、優しげに綺麗な笑みを浮かべる彼と


今はどこにいるかわからない兄、零華の姿が重なった。


ああ、会いたいな。


心の底からそう思う。


戻ってきてほしいよ。


戻ってきてよ。


零兄。

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