それ以上の愛情 ページ20
「おやすみ」
明かりを落とし、ベッドで寝ているAに声をかけた。泣き疲れた妹は穏やかな寝息を立てている。
俺はもう一つ用意されたベッドに潜り込みながら、この安らかな時間が永遠に続くといいなと思った。
Aの独白を聞いて、俺は激しい動揺に襲われた。
ベン・ソロとして戻るか、銀河に新たな秩序を作るかで心が真っ二つになる感じがする。
しかもその決断を責めらる時が近い、そう直感できた。
通いあった感情はもはや敵同士などではなく、兄妹として存在しているだけだ。
だが、俺は自分が妹との関係がそれ以上のものを求めている気がしてならない。
「ん..」
思考をたつようにAの寝言が聞こえる。先から何度も寝返りを打っているから、心配になった俺はそばまで行くことにした。
外から漏れてくる人工的な光がAの可憐な顔を照らし、一瞬眩しさを覚えるほどだ。
額に大粒の汗を浮かべ、悪夢にうなされているのか苦しげな顔だった。
「い、行かないで...」
その手は何かを掴もうと空中で舞っている。
彼女は何に行ってほしくないのだろう。
妹の苦しみに悶える姿が可哀想で、俺はゆっくりAの横に上がった。二人分の体重にベッドが軋む。
横たわると、Aの睫毛が数えるほど間近になる。その胸元の服が乱れて白い肌が覗いている。
見てはならないと思い、俺はとっさに視線を逸らした。
か弱い妹を守りたくて、優しく力を込めて手を握ると、Aは懐の中に寄ってきた。
首元に柔らかい髪がかかってくすぐったかった。
途端、心は火が付いたように燃えて、激しい愛情が溢れんばかりな衝動が走る。
この感情は一体なんだ。
引き寄せられるようにAの頬を触れようとする手を慌てて引っ込めた。
昔から心の奥で妹への愛慕を募り続けた。
まさかその欲望がここまで大きくなったとは自覚ができなかった。
実の兄妹関係だと知りつつも、
俺はAが好きだ。
彼女が俺の中に引き起こす火花は情熱で高まる心に点火したのだ。
「お、にい、ちゃん...」
Aの寝ぼけた声を聞いて、この密かな愛情は永遠に実ることはないだろうと思いながら俺は目を閉じた。
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monicaswan7160(プロフ) - 更新を頑張って下さい (2020年1月21日 17時) (レス) id: ac8ad64216 (このIDを非表示/違反報告)
マサキ(=^▽^)σ(プロフ) - monicaswan7160さん» 難しいですよ...(つД`)ノ (2020年1月13日 21時) (レス) id: 952499b1dd (このIDを非表示/違反報告)
monicaswan7160(プロフ) - そうですねどんな場面にするか考えるしかないですね (2020年1月13日 18時) (レス) id: ac8ad64216 (このIDを非表示/違反報告)
マサキ(=^▽^)σ(プロフ) - monicaswan7160さん» もっとそういう場面を増やしたいところですが、字数制限があって...T^T (2020年1月12日 20時) (レス) id: 952499b1dd (このIDを非表示/違反報告)
monicaswan7160(プロフ) - とてもいい内容でした兄弟のやりとりは面白かったです (2020年1月12日 15時) (レス) id: ac8ad64216 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マサキ(=^▽^)σ | 作成日時:2019年12月21日 9時