【9-5】 ページ35
なぜそうなったのかはわからないが、踊り出しているハリーに笑い転げるドラコ。その奥でハーマイオニーがスリザリン生にヘッドロックをかけられているのが見えるし、ロンは真っ青な顔で動かない相手を抱き抱えていた。
ぐるりと周りを見渡すと、息を切らして床に転がる生徒や、鼻血が止まらなくなっている子などなど……
「武装解除の呪文を唱えるだけだよね？」
私は隣で息を飲むハンナに確認した。
「……やっぱりあなたが上手なのよ。」
いやいや、どう間違えたらこうなるんだ？
ロックハート先生が場を沈めて壇上の上に戻ってくる。
「ええと、代表の生徒を選びましょう。」
彼にもこれ以上続ければ大惨事になることが分かったらしい。
「誰かモデルになる組は？」
「マルフォイとポッターはどうかね？」
スネイプ先生の声で、みんなの視線がその二人に集まった。
「へえ、ドラコとハリーがペアなんだ。」
「それは名案だ！」
ロックハート先生に呼ばれて二人が大広間の真ん中に向かっていくのが見える。それぞれ先生から指導を受けているが…ロックハート先生が杖を落とすのを眺めているハリーの顔はものすごく不安そうだ。
「先生、防御技をもう一度見せてくれませんか？え？杖を落とすんですか？」
ハリーの声は虚しく、ロックハート先生は号令を始めた。
「ではいきましょう。構えて。」
スネイプ先生はドラコになんの呪文を教えたんだろう。
「一…二…三……」
「サーペンソーティア！ヘビ出でよ！」
困惑するハリーに向かって、ドラコが素早く杖を振り上げた。彼の杖の先から黒いヘビが飛び出す…ハリーを含むみんながギョッとした。
何人かの生徒が悲鳴をあげ、混乱が広がる。
「わっ…」
私は後退りしてきた生徒に飲み込まれて、教室の端まで流された。
「私にお任せあれ！」
ロックハートが叫んでいるのが聞こえる。
私は慌てて人混みの間から顔を出した。絶対余計なことをする。瞬間、大きな音がして、ヘビは私の目の前に飛んできた。
「うおっ…！」
すっかり逆上したヘビが、こちらに牙を向けて滑りよってくる。隣にいたジャスティンが悲鳴をあげた。
……
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作者名：まるむ | 作成日時：2023年8月11日 15時
