生まれ変わったらクズでした……３

誰も ページ25

善逸side


やっぱり、俺には才能なんてない

兄貴とは、違う

だって……俺は

善逸
「……俺には」

獪岳(A)
「…！善逸、目が覚めたのか！？
良かった、心配したんだぞ？
ほら、こっち向けちゃんと診てやるから」

桑島
「……善逸！何ともないか？
今日は、もう安静にしてなさい、いいな？」

……俺には、無理だよ期待に応えらんない

でも、でもさ、本当に俺に才能があるなら

善逸
「……ねぇ、じいちゃん
俺に才能ってあるのかな」

本当にあるなら

桑島
「だから、お前には……」

本当に…

桑島
「才能があると言ってあると
言っているじゃろうが！！」

…！

獪岳(A)
「…………善逸、俺も師範もお前に期待してる」

善逸
「……おれ、俺！」

期待に応えたい……けどさ！！

……？なんで、じいちゃん頭に手を…？

桑島
「いいんだ善逸
お前はそれでいい、一つできれば万々歳だ
一つのことしかできないなら
それを極め抜け、極限の極限まで磨け」

いや、じいちゃん

ちょい前までぶち切れだったじゃん

雷の型、六つあるのに俺が一つしか

できたことないから

桑島
「刀の打ち方を知ってるか」

知らんよ、てか頭を叩かないで

桑島
「刀はな、叩いて叩いて叩き上げて
不純物や余分なものを飛ばし、鋼の純度を高め
強靭な刀を造るんだ」

ずっと叩くの？泣くよ俺

だから、じいちゃんは俺のこと毎日

ぶっ叩くのかよ

でも俺は、鋼じゃねえよね生身だからさ

桑島
「善逸、極めろ
泣いていい、逃げていい、ただ諦めるな」

獪岳(A)
「そうだ善逸、信じるんだ
地獄のような鍛練に耐えた日々を
お前は必ず報われる」

桑島
「極限まで叩き上げ、

誰よりも強靭な"刃"になれ！！」

…！じいちゃん！兄貴！

善逸
「……うん、なるよ
俺、頑張る……そしたらさ
兄貴、兄貴の隣で…」

獪岳(A)
「？俺の隣で？なんだ？」

善逸
「……やっぱり、何でもない」

獪岳(A)
「何だよ？気になるだろ？言えよ」

善逸
「…今は、言わない」

獪岳(A)
「……？いつか、言ってくれるのか？
なら、いいが」

善逸
「……うん、いつか、きっと」

親のいない俺は、誰からも期待されない

誰も、俺が何かを摑んだり

何かを成し遂げる未来を夢見てはくれない

誰かの役に立ったり

一生に一人でいいから誰かを守り抜いて

幸せにする未来ですら

誰も望んではくれない

いや、望んではくれなかった

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