生まれ変わったらクズでした……

ここには鬼がいる！ ページ12

できるだけ音を出さないように







それでいて素早く







誰かに気づかれては、いけない……






まぁ、その誰か自体、いるか分からないが。







近づけば濃くなる血の匂い






やっと…、その血溜まりの中にあるモノが







識別できる距離まできた……







獪岳(A)
「………！ぁあ……！……ぅそだろ？」






確かに真っ赤に染まったソレは







きっと人だったのだろう……






目を覆いたくなるほど






凄惨な有り様……けれど、






ソレが人だと分かるのは





獪岳(A)
「……………指が…！」






そう、所々に人の"指"が散らばっていたから





獪岳(A)
「…………みんな……！」





みんなの内の誰か、なのだろうか？






沙代を連れて此処から逃げなきゃ…！





他の子は？どうするの？





みんながこの肉塊なのか？





〜〜〜！！！……どうしたら！







上手く思考が回らない…！








沙代
「かいがくお兄ちゃん………！」






耳元で声がした





獪岳(A)
「沙代!？なんで、ここに！！」






沙代に見せてはいけない！





咄嗟に沙代の視界を遮った






沙代
「……ふ、ふるえてるよ？」





そう言って手を握ってくる……






確かに、震えてる……沙代が……






獪岳(A)
「ごめん、こんなに震えて……」






ひとりで待ってられなかったんだろう






この状況だ、仕方な……





沙代
「ち、ちがくて…！か、かいがくお兄ちゃんが
お兄ちゃんのおててがふるえてるの…！」






獪岳(A)
「……ぁ」






沙代
「かいがくお兄ちゃんの
ようすがおかしかったから、しんぱいで
まてなくて、ごめんなさい！で、でも……」






……






凄いな沙代は





自分ですら気がつかなかった





……冷静にならなくては！







もう一度、血溜まりに散らばる"指"を見る





ちゃんと見ればすぐに分かったことだった……







あれは、子供の指ではない






つまり、みんなの内の誰かではない





沙代
「かいがくお兄ちゃん……？」






獪岳(A)
「沙代!みんなを早く見つけて
帰ろう！！」






沙代の手を握り返し





すぐにこの場を離れる






急がなくては！





日が暮れる前にみんなと帰らないと！






ここには鬼がいる！

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