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正式にジョングク様の婚姻が決まり想像していた以上に忙しい日々が続いた。



そして今日という輿入れの日が来てしまったのだ。


「A、お前は自室に入ればいいから」

『そんなわけにはいきませんよ、私は大丈夫ですから、私のことなど考えずに奥様を迎えてあげて下さい』


ジョングク様は顔を歪ませ、唇をぐっと噛んだ。



朝一番、皆が起き始める頃、彼から掛けられた言葉はどこまでも私も思いやる言葉だった。



本当は今にも逃げ出してしまいそうだった。私以外の女性を横に置き契りを交わす姿なんて......嫌だ、見たくない、

だけど、幼き日から共に過ごしてきた事なんて屋敷の使用人は皆んな知っている。私たちが使用人と主以上の時間を過ごしてきたことさえも.....
今日のこの場で私がいないなんて不審にしか思われないだろう。
そしたら私は彼の側に居られなくなるかもしれない.......
だから私はジョングク様の側付きの使用人としてこの儀式を見守る義務がある。


強い言葉を発したのはそうしなきゃ崩れ落ちてしまいそうだったから。

あの夜の記憶だけでいいんだ。
もう十分幸せを貰ったじゃないか。
そう言い聞かせ自分を鼓舞させた。

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作者名:Marika | 作成日時:2022年4月24日 23時

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