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A side
翌朝ジョングク様は赤く腫れた目と少し掠れた声で、今夜二人で出かけたいと言いにきた。
私はぎこちない笑みで頷く事しか出来なかった。
その日は何をしていても上の空だった。深く考えると涙が溢れ落ちてしまうから何も考えないように何も感じないようにした。
*
皆が眠りにつく頃窓からコツコツと3回音が鳴った。
ジョングク様が部屋の襖に小石を3回当てるのが夜更に出かける時の合図だった。
静かに部屋を抜け出し屋敷の裏にある隠し扉を開ければ彼が立っていた。
「行こうか」
眉を下げて儚げに微笑む彼はとても美しかった。
『どこに行くのですか?』
「久しぶりに星を見に行こう」
その言葉にどきりと胸が鳴り散々泣いたはずなのにまた瞳が涙でいっぱいになった。
動けない私の手を優しく取りゆっくりと歩みを進めた。
ゴツゴツとして逞しい大きな手。彼の硬い手を握ればどれだけ彼が鍛錬してきたのかわかる。
幼い時は自分の意思に削ぐわない鍛錬や勉学から逃げ出しよく怒られていたのに.........いつから彼はこれほどまでの努力をするようになったのだろう。
私が彼の手を握れるのはあと何回だろう。
今日が最後かもしれない
初めてあの森で星を見つけた日は先を行くあなたを追いかけるのに必死だったのに、今はこんなにも近くにいる。
なのに、貴方は本当に手の届かない触れてはいけない存在になってしまう。
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作者名:Marika | 作成日時:2022年4月24日 23時