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「父上!嫌です!従えません!早すぎます!」
屋敷中に響き渡るくらい大きな怒声が聞こえてきてただ事じゃないと思った。
とにかくジョングク様がいつもは尊敬して止まないお父上に反発している事は部屋を隔てていても何となく感じ取れた。
ああきっとこの時が来たんだ。年を重ねるたびにこの日が来ることへの恐れが年々と高まっていた。
きっとジョングク様は婚姻されるんだ。
身分の高い彼が早くに婚姻し、御子息を作り家庭を築いていかなければならないのは自然な流れだ。
ずっと分かっていた。
この日が来ることを。
なのに涙がポロポロと出てきて嗚咽を押し殺す事しかできない。
彼を好きなこと、愛していることを痛いほど感じる。
苦しい。
誰よりも努力家で優しくて謙虚で、たまに突拍子もないこともするけれど誰よりも愛しい人。
私は彼に笑って祝福の言葉を言えるだろうか。
記憶もない時からずっとそばにいれただけでも充分幸せな筈なのに。
誰よりも彼の幸せを願っていたのに。
彼の隣に立つ女性が私だったらどんなに幸せだっただろうか。
違いすぎる身分にそんな幻想すらもずっと抱けなかった。
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作者名:Marika | 作成日時:2022年4月24日 23時